ヘイリーは、10月15日、X(旧Twitter)にこう投稿した。
「私は2018年に国連で、ハマスが血に飢えたテロリスト集団であると非難した。 世界は当時、耳を傾けようとはしなかったが、今こそ耳を傾ける必要がある」
その力強い投稿には「フラッシュバック: ヘイリー、2018年の国連演説で、ハマスの国境突破とその後の『自制』要求に警告」との記事がリンクされている。その記事によると、2018年5月の国連安全保障理事会での演説で、ヘイリー国連大使(当時)はなんと、(まさに10月7日に起きたように)ハマスのテロリストがイスラエルとガザの国境フェンスを突破し、イスラエル南部の町を制圧する可能性に注意を喚起していたのだ。
同演説の中で彼女はまた、イスラエルが自衛のために動く際、国連加盟国が自制して行動するよう促していることを非難し、その上で、「この議場にいるどの国も、イスラエルほど自制して行動することはないだろう」「実際、今日ここにいる数カ国の記録を見る限り、イスラエルより遥かに自制的ではないでしょう」と訴えていたのだ。普段自制をしているイスラエルが攻撃を受けた際に自衛をするのを非難するのはおかしいという、今にも通じる五年前の発言なのだ。
続いてヘイリーは、2018年6月には国連安全保障理事会でハマスをテロ組織として非難する決議案を提出した。ハマスには、ISISやアルカイダとは異なり、国連安全保障理事会によるテロ集団としての認定も制裁もない。これへの賛成はアメリカだけで、他の国は棄権するか反対票を投じたので不採択となった。イランを支持するロシアは安保理で拒否権を持っている。安保理はいまだにハマスに制裁を加えることも、ハマスをテロ集団と認定することもできていないのだ。
さらに同年、ヘイリーは、国連総会でハマスを非難し、イスラエルに対するロケット弾攻撃を非難する投票を推し進め、投票に漕ぎ着けた。修正案が過半数をわずかながら超えたが、3分の2以上の賛成を必要とするルールへの変更に伴い否決されてしまった。
このように、ヘイリーは、国連が総会や安全保障理事会だけでなく、様々な機関が反イスラエル的なバイアスを抱える中で果敢に一貫して挑んできたわけである。
「イランが背後にいることはご存じでしょう」と断言
ヘイリーは今、バイデン政権は「イスラエルの支援、ハマスの排除、アメリカ人を帰国させること」に集中するよう訴えている。尚、イスラエルの武装化、既に強固な諜報機関の強化、紛争に巻き込まれた場合の周辺政府への威嚇、「ハマスの味方」であるパレスチナの団体や国連が支援する団体への米国からの資金提供の停止、バイデン政権が人道支援を目的とした60億ドル(およそ8,990億円)へのイランのアクセス凍結といった具体的な政策も訴えている。
ちなみに、この「60億ドル」とは、アメリカとイランのそれぞれの国で拘束されていた5人ずつを両国の合意に基づき同時に解放した囚人交換の際のアメリカからの見返りのことだ。ハマスによる奇襲攻撃の19日前にあたる9月18日、アメリカ政府は、イラン人5人を釈放し、イランが韓国で保有する60億ドルの資産の凍結を解除した。その60億ドルは食料品や医薬品の購入など人道目的での使用に限られ、アメリカ財務省が使い道などを監視していくとされていたものの、ハマスによる奇襲へのイランの関与の可能性を巡って、党派を超えた批判が高まっている。そこでバイデン政権の当局者は、その60億ドルを再凍結する可能性に含みを持たせている。
ヘイリーは、「ハマスがやったのだから、イランが背後にいることはご存じでしょう」と断言している。