“報道テロリスト”金平茂紀に与えられた使命|山口敬之【WEB連載第18回】

“報道テロリスト”金平茂紀に与えられた使命|山口敬之【WEB連載第18回】

9月一杯で「報道特集」のキャスターを降板させられた金平茂紀氏。金平氏とは一体どういう人物なのか。かつてともに仕事をした山口敬之さんが金平氏の本性を暴く!


「安倍のようなクズが総理になってしまう」

ちょうど2ヶ月後の9月20日には、長期政権を築いた小泉純一郎首相の後継を決める自民党総裁選が予定されていた。だからこの「印象操作」は、総裁選の有力候補だった安倍氏の印象を貶めて総裁選を不利にするという、TBSによる「ゲリラ活動」だったことは言うまでもない。

放送事業を統括する総務省はすぐ調査に乗り出し、3週間後の8月11日、TBSに対して、放送法に基づく厳重注意の処分を下した。この総務省の処分を受けて、社内で最も厳しい処分を受けたのは、このVTRを作ったKという社員ディレクターだった。金平が「筑紫哲也のニュース23」という番組の編集長を務めていた時に部下として昼夜を分たず一緒に働いていた人物だった。

TBS報道局内部では「Kは金平の指示であんなゲリラVTRを作らされたに決まっているのに、Kだけが厳しく処分されるのは酷い話だ」という声が挙がっていた。しかし金平は知らぬ存ぜぬを通して報道局長を続投した。

7月に総務省が厳重注意処分を決めた数日後、ある報道局幹部から私に内々に連絡があった。
赤坂の居酒屋の個室で向き合ったその幹部は衝撃的なことを告白した。

「あの番組が放送される1週間ほど前、俺は金平とKともう一人の合わせて4人で赤坂でメシを食ったんだよ。その場で金平がKに言った言葉が忘れられないんだ」

「金平はKに対して、絡むようにして執拗にこう言っていた。『このままでは安倍晋三のようなクズが総理になってしまう。お前はそれでいいのか?』」

「この時の金平の形相は、尋常ならざるものがあった。ある種の狂人によく似ている。」

「あまりにおぞましくて、誰にも言えなかったんだが、金平が無罪放免で報道局長を続投しているのが許せなくてね」

私も金平が安倍氏への憎悪を隠さず、自分の感情を制御できなくなっていく様子をつぶさに観察した経験があったから、この人物の発言には十分に信憑性があった。

この証言が事実なら、金平はKに直接的な指示をして、卑劣な報道テロを指揮したことになる。そしていざ問題が大きくなると部下に全ての責任を押し付け、自身はのうのうと報道局長の座に居座り続けるという、厚顔無恥の極限例を実践してみせた。

金平は、残虐なテロリスト大道寺将司の死を象徴的に悼んだだけではなかった。その暴力革命思想とテロリズム、そして外道の精神をそのまま引き継ぎ、報道の世界で実践していたのである。

金平を登用し続けたTBS経営陣こそ万死に値する

この「金平印象操作事件」の経緯については、「伊藤詩織」問題ー金平茂紀と望月衣塑子の正体」でも詳述した。

金平茂紀がジャーナリストの姿を借りた極左活動家であることは、まともなTBSの報道局員であれば誰でも察知していた。

ここで問われなければならないのは、極めて危険なテロ容認極左活動家を報道局長とし、露骨な報道テロも不問に伏し、その後12年の長きにわたって報道特集のキャスターとして使うという、異常な判断をしたTBSという会社である。


私は異常な判断が続いた構造を象徴する、異常な会食に同席する機会があった。それこそ、金平グループによる「印象操作事件」で厳重注意処分が出た直後に、TBS経営陣が安倍氏を招いて開いた「手打ちの宴席」だった。

TBS側は当時の井上弘会長、石原俊爾社長と私、安倍氏側は本人と秘書1名が参加して、赤坂の高級料亭で会食をした。井上氏は社長時代から隠然とした力を行使して、実質的に独裁者として君臨していた。

会食前は相当怒っていた安倍氏だったが、宴席冒頭で井上と石原が問題の経緯を説明して深く謝罪し再発防止を期すと訴えると、安倍氏も矛を収めて会食は無難に終わった。

安倍氏側を送り出したあと、井上氏と石原氏と3人で、隣りのバーで一杯やることになった。この時、井上氏は私に驚くべきことを言った。

「あの安倍というのは本当にダメだね。あんな右翼政治家じゃなくて、福田(康夫)さんとか二階(俊博)さんとか、もっとアジアの国とうまくやっていける政治家を称揚しなきゃ」

たったいま平身低頭謝罪して許しを乞うていた安倍氏について、井上氏が嫌悪感を剥き出しにしたのである。井上氏の安倍氏への激しい憎悪と、感情を抑えきれない様子は、金平と全く同質のものに見えた。

どこの会社にも、どこの社会にも破壊思想の持ち主や憎悪の感情を制御できない人物は少しはいる。
しかし当時のTBSという会社は、「安倍晋三はダメだ」と公言して恥じない経営者が、同質の「安倍晋三だけは政治家にしちゃいけない人間なんだよ」と言い放つ人物を報道局長やニュースキャスターとして登用するという、極めて異様な状況だったのだ。

しかし、今回、金平が報道特集のキャスターを更迭されたからといってTBSが改善の方向に向かっているかどうかはわからない。

はっきりしているのは、
「安倍晋三を社会的に抹殺する」という金平に与えられた使命が、暗殺という形で図らずも実現してしまったからこそ、金平は「お役御免」となったということである。

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