軍事情報ダダ漏れ!1⃣ YouTubeに溢れかえる「空母改修工事」|小笠原理恵

軍事情報ダダ漏れ!1⃣ YouTubeに溢れかえる「空母改修工事」|小笠原理恵

陸海空の自衛隊の基地や航空機・潜水艦など様々な動画が撮影され、動画サイトに溢れかえっている――。日本では、当たり前のように自衛隊基地を撮影できるが、これは世界から見るとかなり特殊だ。いつまで日本政府と国会は軍事情報をダダ漏れさせるのか?


撮影を注意すらできない自衛隊

我が国には海上自衛隊の艦艇や桟橋撮影を禁止する法律はない。1985年第102国会で「自衛官によって写真撮影を妨害された事件に関する質問主意書」という質問が行われた。陸上自衛隊八戸駐屯地正門前で「社会新報」の記者が基地内を撮影しようとしたところ、自衛官によって写真撮影を妨害されたという趣旨のものだった。

この答弁で当時の内閣総理大臣中曽根康弘氏は「防衛庁としては、各部隊等に対して写真撮影を行わないよう強制することはできない旨適宜指導している」と回答している。自衛隊には強制力が認められず、今も続いている。

ドローン禁止法第一号の摘発事例はこの呉基地上空での飛行事例だったが、広島地検は2019年12月10日付で不起訴処分とした。

防衛省は飛行禁止区域を基地の敷地に設定しているが、この改修工事を行うジャパンマリンユナイテッドの敷地は規制対象外だ。私有地への無許可ドローン撮影について争うことは可能だろうが、企業側にはそのメリットはない。 国も防衛省も外部から撮影可能なものは撮影されても仕方ないという立ち位置を変えていない。今後も空母改修工事は全世界に配信されることだろう。

いつまで日本政府と国会は軍事機密をダダ漏れさせるのか?

これは前述のように自衛隊のせいではない。1985年当時、撮影を止めようとした自衛隊員は注意するべきではなかったとされた。自衛隊は国会によって何もできないように手足を縛られている。責任を負うべきなのは、これまで国防と真剣に向き合わなかった政府と国会のせいだろう。

1955年憲法改正をするために結党された自民党はいまだに憲法改正の発議すらできない。自衛隊は今も撮影は自由だという国会の質問主意書の答弁からその決まりを守っている。政治が間違いを認め、変えなければ自衛隊は撮影を注意すらできない。

日本の情報管理の甘さを強く批判する米国

【空母化改修(27)】安倍元首相が凶弾に倒れた日!護衛艦「かが」の様子②は…艦首は海にあった!抜群のクレーン操作!生映像です!【戦艦大和造船所】海上自衛隊 呉基地 2022年7月8日 DDH-184
動画タイトルにわざわざ「安倍元首相が凶弾に倒れた日!」といれているところが……

この事態は、思っている以上に深刻だ。諸外国は情報を流出しないために徹底した対策をとっている。かたや我が国では軍事情報を今もたやすく収集される環境のままだ。我々は自分たちの軍事情報を詳細に知っている敵に挑む覚悟をしなければならない。

彼らは自衛隊を研究し尽くしているはずだ。

撮影禁止を強制する法整備が間に合わないのなら、ドックを衝立や屋根で完全に遮断するしかない。薄布で隠しているが、動画ではめくれ上がった瞬間をしっかりとらえられている。小手先のやり方ではだめだ。積み上げ式で防衛予算増額をする岸田内閣の言葉が妄言でなければ、「せめて空母改修工事くらいは秘密保全しろ!」と言いたい

2007年に米国議会調査局がまとめたF22に関する報告書では、同年に海上自衛隊で発生したイージス艦情報の機密漏えい事件を例に挙げ、「最新技術が不注意によって第三国に流出する可能性がある」と日本の情報管理の甘さを強く批判している。

こんな軍事情報漏洩し放題の日本に米国が愛想を尽かさないか、とても心配だ。

関連する投稿


日中国交正常化50年 中国の横暴を防ぐ出発点に!|和田政宗

日中国交正常化50年 中国の横暴を防ぐ出発点に!|和田政宗

「中国は低姿勢だったが、50年たったら態度はガラッと変わる。大きく経済発展して日本を見下すようになるよ」(時事通信)。当時の大平正芳外務大臣の予言だが、まさにその通りの状況になった。今こそ国交正常化以降の50年を、中国対応を誤った50年として反省すべきだ。


「ケツ舐め記者」と誹謗する金平茂紀の正体|山口敬之【WEB連載第17回】

「ケツ舐め記者」と誹謗する金平茂紀の正体|山口敬之【WEB連載第17回】

9月17日、金平茂紀氏はFacebookにこう投稿した。《この国にも「ケツ舐め記者」という連中が少なからず棲息していて、権力者、独裁者、ご主人様の局所を舐めて、その対価として「ご褒美」をもらって、それを得意げに広報し、「独自」「スクープ」とかのワッペンを自分で貼りつけて(中略)男性にも女性にも、もちろんいます、「ケツ舐め記者」は》。金平氏は、一体何様のつもりなのか。


支持率低下が止まらない岸田内閣|和田政宗

支持率低下が止まらない岸田内閣|和田政宗

岸田内閣の支持率低下、何が原因となっているのか。メディアは、旧統一教会問題が足を引っ張っていると言うが、皆様から強く聞く声は、「岸田内閣は実績が見えない」「決断が遅い」というものである――。


れいわ・大石あきこ議員と極左暴力集団|山口敬之【WEB連載第16回】

れいわ・大石あきこ議員と極左暴力集団|山口敬之【WEB連載第16回】

7月26日、大石あきこ氏を名誉棄損で提訴した。派手な宣伝や告知はせず粛々と手続きを進めてきたが、大石氏は私の訴状を受け取るや否や、YouTube動画をアップロード。裁判費用を捻出するためのカンパまで募っているという――。「大石あきこ」とは一体どういう政治家なのか。


知性とモラルを欠いた日本の国会|田久保忠衛

知性とモラルを欠いた日本の国会|田久保忠衛

つい最近まで日本の最高指導者だった人物が公衆の面前で真っ昼間に暗殺されたのに、国の在り方は問題にもされず、取るに足らぬ瑣末な問題に貴重な時間が徒に費やされている。知性とモラルと勇気を欠いた日本の国会こそ「戦後レジーム」の象徴である。


最新の投稿


美しい日本の姿を国葬で示そう|櫻井よしこ

美しい日本の姿を国葬で示そう|櫻井よしこ

肉体は滅びても死者の魂は日本国の空、深い森や清らかな水辺のどこかにいらして、生者である私たちと日本国を見守って下さっている、と信じている。日本国のために闘い続けた安倍氏への深い感謝を国民こぞって静かに捧げる美しい日本の姿を国葬儀で世界に示そう。


日中国交正常化50年 中国の横暴を防ぐ出発点に!|和田政宗

日中国交正常化50年 中国の横暴を防ぐ出発点に!|和田政宗

「中国は低姿勢だったが、50年たったら態度はガラッと変わる。大きく経済発展して日本を見下すようになるよ」(時事通信)。当時の大平正芳外務大臣の予言だが、まさにその通りの状況になった。今こそ国交正常化以降の50年を、中国対応を誤った50年として反省すべきだ。


【日本原論】サタンに敗けない![冒頭先行公開]

【日本原論】サタンに敗けない![冒頭先行公開]

旧統一教会を巡る問題について、「サンデージャポン」での「爆笑問題」の太田光の発言がまたもや炎上。「#太田光をテレビに出すな」がTwitterでトレンド入りまでした。太田光は何を思う……本誌人気連載「日本原論」で大いに語った!


「ケツ舐め記者」と誹謗する金平茂紀の正体|山口敬之【WEB連載第17回】

「ケツ舐め記者」と誹謗する金平茂紀の正体|山口敬之【WEB連載第17回】

9月17日、金平茂紀氏はFacebookにこう投稿した。《この国にも「ケツ舐め記者」という連中が少なからず棲息していて、権力者、独裁者、ご主人様の局所を舐めて、その対価として「ご褒美」をもらって、それを得意げに広報し、「独自」「スクープ」とかのワッペンを自分で貼りつけて(中略)男性にも女性にも、もちろんいます、「ケツ舐め記者」は》。金平氏は、一体何様のつもりなのか。


日米共同演習でロシアを牽制せよ|岩田清文

日米共同演習でロシアを牽制せよ|岩田清文

今、米国が最も神経を使っているのは、今後、ウクライナの反撃が進展し、東部2州あるいは、クリミアまでをも奪還できる状況になった時、それをどこまで許容するかという点であろう。