【橋下徹研究⑨】「副市長案件」に潜む2つの巨大な闇|山口敬之【WEB連載第9回】

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橋下徹氏は「副市長案件」「問題ない」「花田らは完全に炎上商法」の立場だが、罵詈雑言のみでこちらの問いかけにはまったく答えていない。咲洲メガソーラーは、外形上は「月額55万円の市有地賃借契約」であり、通常なら「局長案件」だったはずだ。なぜ、「副市長案件」に格上げされたのか。


インフラの安全を顧みない松井市長

私が「橋下徹・上海電力疑惑」の取材を始めたのは、ちょうどロシアがウクライナに侵攻した3月下旬だった。

ロシアがNATO加盟を目指すフィンランドへの送電を停止する措置に出るなど、有事となれば電気や天然ガスといったエネルギーやインフラが直接的なターゲットになるという戦争の現実を連日見せられるなかで、「日本の公共発電を外国の企業に任せていて大丈夫か?」という問題意識は日増しに強まっていった。

特に中国では、2010年に国防動員法という法律が成立し、中国政府が有事を認定すれば中国国内のみならず世界中の中国人は国務院の指揮の下で、中国政府・中国共産党・人民解放軍への全面協力を義務付けられる。

上海電力日本は「上海電力股份有限公司」という中国の会社の100%子会社で、経営的にも国防動員法的にも国務院の完全支配下にある企業だ。

上海電力問題の最も重要かつ深刻な部分は、「日本のインフラが外国勢力によって人質にされているのではないか」「ひとたび有事となれば突然発電を止められたり異常な電流を流されたりしないか」という、日本国民の生命に直結した「今そこにある危機」である。

ところが松井氏は、中国政府が完全支配する上海電力に日本のインフラをゆだねることについて、「何かマズいんですか?」という対談相手の発言に対して、「それが僕にはわからない」と言い切った。

現役の大阪市長として、中国政府の直接的支配下にある上海電力に公共発電をゆだねても「マズくない」という認識をはっきり示したと言える。

吉村知事も、この関連では「当時の副市長に確認した」「橋下氏からの指示はなく、橋下氏への相談もなかった」などと手続き論に関する発信に終始し「インフラの安全を確保する」という首長としての問題意識や方針には一切触れていない。

松井市長や吉村知事は、国民・市民の生命と財産の保全よりも、維新結党時の功労者である橋下徹氏の擁護を優先した。言い換えれば「保守政治家」「保守政党」とは程遠い存在であると自ら暴露したに等しい。

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