菅前総理の大偉業と心許ない岸田政権の対中姿勢|和田政宗

菅前総理の大偉業と心許ない岸田政権の対中姿勢|和田政宗

米国を取るのか、中国を取るのか。米国は、企業のみならず各国に対しても厳しい姿勢で臨んでいる。日本はアジア太平洋のリーダーとして米国より先に、北京五輪への「外交的ボイコット」を表明すべきだった――。本音で語れる政治家、和田政宗議員がこの1年の日本外交と重要課題を振り返る!


遅すぎた「外交的ボイコット」

Getty logo

そうしたなか、岸田文雄政権となり、対面での日米首脳会談がいまだに開催できないのは心配である。米国は、アジア太平洋において日本の確固たる姿勢と行動を求めており、特に中国に対する姿勢を見ている。

米国は、企業のみならず各国に対しても「米国を取るのか中国を取るのか」という厳しい姿勢で臨んでいる。私は北京五輪に対する外交的ボイコットについては、遅くとも米国の表明直後に日本も行うべきであったと考えるし、日本はアジア太平洋のリーダーとしてむしろ米国より先に表明すべきであったと考える。

今、米国が「日本とは考えにズレがあるかもしれない」と考えるのは我が国にとっても良くないことであるし、決して対米追従をせよということではなく、対中国において日米にズレがないことが、この地域の平和と安定を守ることにつながるのだ。

米国、オーストラリア、イギリスによる安全保障の枠組み「オーカス」の構築も、クアッドとの連携につながればよいが、クアッドをあきらめてのオーカスへの移行ということであれば大変なことである。

「日本は安倍政権、菅政権のようにアジア太平洋の安全保障においてリーダーシップをしっかり発揮するのか?」ということを米国は見ている。

尖閣諸島についてもそうだ。中国は勝手に「尖閣は台湾の一部であるから自国領土である」と主張している。であるから、台湾侵攻と尖閣侵攻は同時に行われる可能性が極めて高い。

米国は「尖閣は日本領土なのだから実効支配を高めよ」ということを求めている。いざという時に尖閣を守れないという可能性はまったくあり得ず、断固とした行動を今から取れ、と求めているのである。

日本国内の分断と対立を煽るメディア

岸田政権は外交において、最重要同盟である米国との関係をもう一度真剣に構築すべきであり、隙があれば中国に付け入られる。北京五輪の後、中国は恐いものがなくなり、何でもやりたい放題の行動を取ってくることも考えられる。

安倍政権、菅政権で構築したアジア、インド太平洋における日本のリーダーシップと行動を、岸田政権においてもより強く示すべきだ。

そのためには、今こそ国民が結束して世界の平和を守り、人権弾圧から諸民族を守ることが重要であるが、これに対し、分断を煽り、日本国内の対立を強めようという動きが生じている。

その最たるものが、12月の武蔵野市の住民投票条例案を強硬に推進しようという動きであり、反対意見や慎重審議を求める街頭演説会に対する妨害活動である。

神奈川新聞・石橋学編集委員が妨害を擁護する行動を取り、毎日新聞の後藤由耶記者は脅迫的取材を行うとともに、一部を切り取る報道を行った。これはもう、事実をありのままに伝えるジャーナリズムではなくプロパガンダに近い。

これに対して、我々は武蔵野市民と市議会の良識を持って、条例案を否決した。まさに、民主主義の勝利と言える。戦前からのコミンテルンの手法は、人々の分断を煽り、対立を生じさせ、国家を混乱に陥れることだ。

我々は国内外の現在の困難な状況を乗り越えるためにも思いをひとつにして行動していかなくてはならない。日本を意味する言葉である「和」の精神をもって、令和4年も皆様とともに行動していきたいと思う。

関連する投稿


「ニュー岸田」の誕生か? 財務省に抗い速やかに減税を!|和田政宗

「ニュー岸田」の誕生か? 財務省に抗い速やかに減税を!|和田政宗

「岸田内閣は負担増内閣」「国民生活の実態を分かってない」との声が届いたのか、岸田文雄総理が新たな経済対策を打ち出した――。実現か失望か、岸田政権としてまさにここが正念場である。(サムネイルは首相官邸HPより)


今にも台湾侵略が起きてもおかしくない段階だ|和田政宗

今にも台湾侵略が起きてもおかしくない段階だ|和田政宗

台湾をめぐる中国軍の「異常」な動きと中国、ロシア、北朝鮮の3国の連携は、もっと我が国で報道されるべきであるが、報道機関はその重要性が分からないのか台湾侵略危機と絡めて報道されることがほとんどない――。台湾有事は日本有事。ステージは変わった!


追い込まれた岸田政権、いまこそ大胆な政策を!|和田政宗

追い込まれた岸田政権、いまこそ大胆な政策を!|和田政宗

第2次岸田再改造内閣が昨日発足した。党役員人事と併せ、政権の骨格は維持。11人が初入閣し、女性閣僚は5人と過去最多タイとなった。岸田政権の支持率向上を狙うが、早速、「この内閣は何をする内閣なのか?」という疑問の声が私のもとに寄せられている――。(サムネイルは首相官邸HPより)


私が見た「埼玉クルド問題」 不法滞在を目論むクルド人は速やかに帰国を!|和田政宗

私が見た「埼玉クルド問題」 不法滞在を目論むクルド人は速やかに帰国を!|和田政宗

マフィア化が始まっているとも言える「埼玉クルド問題」の本質とは何か。帰国したいのに帰国できない人物と、不法滞在を目論み「政治的迫害を受けた」と自ら主張し難民申請をする人たちは全く違う。しかし、この違いを混同させようとSNSで発信している人物がいる――。(サムネイルはYouTube「産経ニュース」より)


親日国パラオに伸びる中国の〝魔の手〟|和田政宗

親日国パラオに伸びる中国の〝魔の手〟|和田政宗

パラオは現在、中国による危機にさらされている。EEZ(排他的経済水域内)に海洋調査船などの中国公船が相次いで侵入しており、まさに日本の尖閣諸島周辺に近い状況となっている――。(サムネイルは筆者撮影)


最新の投稿


【今週のサンモニ】厚顔無恥な暴走は止まらない|藤原かずえ

【今週のサンモニ】厚顔無恥な暴走は止まらない|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。過去の番組の論調を忘れたかのような厚顔無恥なコメントを連発。


「ニュー岸田」の誕生か? 財務省に抗い速やかに減税を!|和田政宗

「ニュー岸田」の誕生か? 財務省に抗い速やかに減税を!|和田政宗

「岸田内閣は負担増内閣」「国民生活の実態を分かってない」との声が届いたのか、岸田文雄総理が新たな経済対策を打ち出した――。実現か失望か、岸田政権としてまさにここが正念場である。(サムネイルは首相官邸HPより)


なべやかん遺産|「コレクションの飾り方」

なべやかん遺産|「コレクションの飾り方」

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「コレクションの飾り方」!


【処理水】国際社会に問え!「日本と中国、どちらが信頼できるか」|上野景文

【処理水】国際社会に問え!「日本と中国、どちらが信頼できるか」|上野景文

福島第一原子力発電所の処理水放出を開始した途端、喧しく反対する中国。日本はどのように国際社会に訴えるべきか。


【レジェンド対談】出版界よ、もっと元気を出せ!|田中健五×木滑良久

【レジェンド対談】出版界よ、もっと元気を出せ!|田中健五×木滑良久

マガジンハウスで『BRUTUS』『POPEYE』などを創刊した名編集者・木滑良久さんが亡くなりました(2023年7月13日)。追悼として、『文藝春秋』で「田中角栄研究」を手掛けた田中健五さん(2022年5月7日逝去)との貴重な対談を『Hanada』プラスに特別公開! かつての出版界の破天荒さ、編集という仕事がどれだけおもしろいのか、そして木滑さんと田中さんがどのような編集者だったのかを知っていただければうれしいです。