小池百合子に「排除」されて誕生した立民
さらに外交面では、大デリゲーションの小沢訪中団と普天間基地の辺野古移転の迷走で米国との関係が悪化、日本の周辺諸国はこの混乱に乗じ、ロシア大統領国後島訪問、韓国大統領竹島訪問、中国人尖閣諸島上陸など、次々と露骨に日本領土に侵入しました。
このように世紀の失政を繰り広げた民主党政権は、実現不可能な選挙公約で人気取りをして政治的統制と経済的統制を計画性なしに強めたポピュリズム政権でしたが、これは自民党竹下派と社会党のイデオロギーを継承するものでした。
政権から下野した民主党は、55年体制の社会党のように政府の政策に反対するだけの「反対政党」となり、日米同盟に基づく新時代の日本の安全保障の根幹ともいえる平和安全法制を暴力で阻止する姿勢を見せるに至りました。
民主党も本質的には共産党と同様、無謬性を主張して多様な考えを完全否定する全体主義政党なのです。民主党は民進党と党名を変え、ヒステリックに政権を人格攻撃する蓮舫代表の下で衰退を続けていきます。
そんななか、夜のニュースショーと昼のワイドショーに彗星のように登場して大ブームを生んだ小池百合子氏が、安保法制を支持して小さな政府を目指す保守主義の希望の党を2017年衆院選前に立ち上げると、大量の議員が民進党を離党し、イデオロギーが全く異なるにもかかわらず、選挙目当てで新党に合流したのです。この際に、イデオロギーを根拠に小池氏に「排除」された自称リベラル議員が創ったのが立憲民主党です。
ここで意外にも、小池氏の「排除」発言で希望の党は急失速し、綱領もない立憲民主党が躍進しました。すると、今度は選挙目当てで希望の党に入党した議員が再び希望の党あるいはその後継の国民民主党を離党し、立憲民主党に入党したのです。最後には、別経由で小沢一郎氏も入党しました。
結局、立憲民主党という政党は、社会主義に近いイデオロギーを持つ議員と、イデオロギーを持たずに政府批判とスキャンダル追及に終始する選挙目当ての議員の寄り合い所帯なのです。
ゼロコロナは究極の全体主義政策
立憲民主党は、2021年のコロナ禍においてゼロコロナ政策という強権発動を政府に要求しました。これは、強い政治的統制によるロックダウンと強い経済的統制による休業の補償を行う政策であり、個人の自由権(精神的・身体的・経済的自由)を奪うと同時に膨大なコストをかけて個人の社会権(生存権・健康権)を保障するものであり、中国などの全体主義国家が行っている究極の全体主義政策です。
しかしながら、この政策によって社会権を保障するのは不可能であるとともに不必要であることが明確に判明します。
東京五輪の選手村では、選手が毎日コロナの検査を受けました。選手はコロナ陽性の場合、五輪に出場できなくなるため、自己管理を徹底しましたが、それでも東京の市中感染率と同程度の陽性者が発生するに至りました。
このように徹底管理された閉じたバブル空間でも陽性者は一定数発生することから、検査の徹底による感染抑止の効果が低いことは自明であり、ましてや管理されていない日本国民全員に対してロックダウンと高頻度の検査を強要したところで、やはり感染抑止の効果は低いのです。つまり、ゼロコロナ政策による感染抑止は事実上不可能であるということです。
一方、東京五輪の開催前からコロナ第五波の実効再生産数(発症ベース)は急減し、その後、人流が増えても実効再生産数は減り続け、ロックダウンと高頻度の検査なしで事実上のゼロコロナが達成されました。つまり、ゼロコロナ政策はもともと不必要だったのです。
立憲民主党と共産党は、東京五輪についてもコロナを理由に中止を求めました。感染メカニズムが不明のなか、彼らは単なる思い付きで、選手や世界中の人々の精神的・身体的自由を奪う厳しい制限を求めたのです。