総額2兆7千億円の大キャンペーン
昨年10月、交流のある自動車販売会社の社長さんのもとを訪問した。その時に真っ先にかけられた言葉が「和田さん、GoToトラベルをやってくれて有難う」というものであった。
私は「え?社長のところ旅館経営してましたか?」と聞き返したところ、「いやいや違うんです。GoToトラベルのおかげで地域経済が回りだし、車が飛ぶように売れてます」という答えであった。
実際にトヨタとホンダの自動車生産台数は昨年9月は過去最高となり、その後もトヨタは3カ月連続で過去最高となった。直接的に消費につながる「真水」を経済対策で投入すればこれだけの効果があるという実証である。
そして、「GoToトラベル」の予算額1兆3千億円は昨年度末を待たずに使い切ってしまう可能性があったことから、昨年度3次補正予算でさらに1兆4千億を積み増すこととなった。経済への好影響から、何と当初予算額と同規模を積み増し、総額2兆7千億円のキャンペーンとなったのである。
皆さんはお気づきだろうか。
「GoToトラベル」は旅行・宿泊代金の半額キャッシュバック。すなわち、残りの2兆7千億円は皆様のお財布から出していただいているのである。
つまり、5兆4千億円という巨大な「真水」が地域経済に投入されるわけで、日本のGDPの規模は約550兆円であるので、直接的に約1%のGDP押し上げ効果があり、そこからの波及効果を考えれば、2%以上のGDP押し上げ効果があるという試算もある。これだけの施策を打てば、経済を支えられるわけであり、その後の反転攻勢にもつながるのだ。
国民のため、日本経済のために決断を!
しかしながら、今回の補正予算においては、「GoToトラベル」の予算額は、執行残額がまだ約1兆円あるということで、その実施にかかる費用が積み増されただけで、実質的な増額にならなかった。
また、割引率も旅行・宿泊代金においては30%に下げられ、地域共通クーポン券も最大で3000円となる。そして再開時期についても、まず同一都道府県内の旅行について各都道府県が行う「県民割」、その後、対象地域を隣県や地域ブロックに広げたうえで、最終的に「GoToトラベル」の再開時期を判断するというものである。
これだけ経済への直接的な効果が上がるキャンペーンをなぜ思い切って実行できないのか。
岸田政権は、安倍政権、菅政権とは違った施策を打ちたいのかもしれないが、実績の上がっているキャンペーンを速やかに再開し、予算額を積み増すことが、国民のため、日本経済のためになるのではないか。
「GoToトラベル」が再開されれば予算はかなりのスピードで使われてしまうはずだ。それは経済が潤うということであるから喜ばしいことであり、その際には絶対に予算を積み増ししなければならない。予備費の活用であったり新たな補正予算であったり、いくらでも方法がある。
日本経済の再生のために、私は引き続き「GoToトラベル」の早期再開と予算積み増しを主張し、実現していきたい。