【入管庁問題】入管法改正潰し、蠢く人権団体|高山正之・和田政宗

【入管庁問題】入管法改正潰し、蠢く人権団体|高山正之・和田政宗

名古屋出入国在留管理局で3月、収容中だったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった。職員による対応や医療体制の不備などに注目が集まっているが、きっかけとなった毎日新聞をはじめとしたメディアの入管批判報道は、明らかに政府が進めていた入管法改正案を潰すことを目的としていたものだった!(この対談は6月に行われたものの再録です)


入管の対応に問題は……

高山正之氏(左)と和田政宗氏(右)

高山 ニューヨーク・タイムズには、食事についてパンを少々、水と砂糖を摂っていたとある。流動食にするほど衰えてはいないという感じで書いていた。

和田 入管の中間報告によると、当然、給食など食事は与えていて、それを食べたり食べなかったりしていた。一方で、面会者から差し入れでもらった金銭を使用して、飲食物を購入していたそうです。入管は体調が悪くなってからも、給食に加え、経口補水液などを与えて、栄養を取れるようにしていました。

ウィシュマさんは仮放免を求めていましたが、1回目の申請は体調が悪くなる前の1月4日。この時は不法残留となったあとに所在不明になったことを踏まえ、不許可になった。

2月22日に2回目の申請が出され、体調などの状況を考慮して許可する検討に入っていたものの、3月6日に亡くなってしまった。決して入管が絶対に仮放免を出さないようにしていたわけではありません。

毎日をはじめとする報道は、入管が何もせず、仮放免すら検討せず、死に追いやった――という感じで書いていますが、中間報告を丹念に読めば、とてもそうは思えません。

しかしながら、ウィシュマさんがお亡くなりになったことは、あってはならず、入管は反省すべき点を反省をして再発を防止しなくてはなりません。

高山 しかも、彼女は処方された薬の服用を拒んで病状が悪化した。それは誰の責任なのか、誰かに薬を飲むなと言われたのか。

和田 中間報告にそのまま載っているので申し上げますと、3月4日に外部病院の精神科の医師が診察をしたところ、「病気になることによって仮放免をしてもらいたい」との思いが作用して心因性の障害を生じさせている可能性があるとして、身体化障害の疑いの診断をして、睡眠導入剤、抗精神病薬を処方しています。

高山 人権団体が「あなたは出られるのに出させてもらえない」と心理的な負担を与えたんじゃないか、と疑いたくなる。そもそも、DV男の手紙があまりにも都合のよいタイミングと内容だ。

ニューヨーク・タイムズは入管に批判的でありながら、こういったこともきちんと報じている。日本の新聞はなぜ報じないのかね。

改善案が潰された

和田 今回の毎日などの入管批判報道の何が酷いかというと、明らかに政府が進めていた入管法改正案を潰すことを目的としていたことです。

そもそも改正案は、たとえばクルド人が日本でトルコ政府に批判的なクルド系政党への支援活動をしたことによって、トルコで事後の政治犯にされてしまい、帰国したら逮捕されてしまう事態になっている。

そういった方々を難民に準じて保護すべき外国人として、補完的保護対象者という名前で保護するようにする。また仮放免も、監理人を定めて監理措置という形にして外部で活動できるようにする。改正というよりも、明らかな改善案だったのです。

高山 ウィシュマさんに入れ知恵した人権団体は、彼女が死んでから妹2人をスリランカから呼び寄せ、上川陽子法相と面会させた。そんな金があるなら、最初からウィシュマさんの飛行機代を出せばよかったのに。

和田 難民申請も、これまでは繰り返し申請できたのですが、それを2回までに制限し、それ以降は国外退去処分にするようになります。この点を「冷たい対応だ」と批判されますが、難民審査の現場の状況に携わっている方からはこんな話を聞きます。

たとえば、「自国のAという組織から迫害を受けているから難民申請をします」と言っていた人の話を審査してみたら事実と違っていた。

それを指摘したら、今度は「Aからというのは勘違いでした。本当はBからです」と言う。そうするとまたそれが事実なのかを審査し、それが違えば今度は「Cからでした」……。申請が却下されても再申請をし続けている限り、送還されることはないのです。

高山 そういう繰り返し申請組は3100人もいて、その8割が病気などを理由に仮放免されている。

和田 仮放免は本来、軽々にできるものではありません。もし、仮放免中にその人が逃走してしまったらどうなるか。不法滞在者ですから、まともな仕事にはつけない。裏社会に潜り込むしかなくて、窃盗や麻薬売買、場合によっては傷害、殺人に手を染めてしまう。これはわが国の治安を、また一般国民の安全安心を危うくさせるものです。ですから、仮放免ではなく監理措置という、もっとしっかりとした制度にしようとしているわけです。

――野党や新聞は、なぜ反対をしているのですか?

和田 基本的に改善案ですから、反対する理由はありませんよね。ただ想像するに、政府提出の法案ですから、これを潰せば「菅政権がおかしなことをしている」と印象付けられる。それが狙いかもしれません。

高山 改正案は、本当に困難な環境に置かれている外国人にとっては改善以外の何ものでもなかったのに、目先の欲で潰してしまった。

和田 この一連の報道は、実はモリカケと全く同じ構図です。

森友は、財務省の報告書などを読み込めば、安倍総理の関与がなかったことは明白。また、加計に関しても、獣医学部新設に恣意的に関与はできない構造になっています。しかし朝日や毎日は、「何か怪しい」として報じ続けていた。

今回も中間報告をきちんと読めば、何が起こっているかはわかります。ところが、「入管が何か悪いことをしたのだろう」と思い込み、入管法改正案を潰すために、中間報告から切り取りを行って批判記事を書いた。

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