憲法も含めて法制度整備が必要
昨年1月以降、世界中の人々が新型コロナウイルス感染症の拡大に苦しみ、各国で「ロックダウン」など強制的な対応が行われました。一部の国では反発する人達による大規模デモや、エッセンシャルワーカーの職場放棄などが報じられました。
日本では、「ロックダウン」を可能にする法律がないなかで、ほとんどの国民がマスクを着用し、手洗いや消毒など清潔を心掛け、厳し過ぎる経営状況のなかでも多くの事業者が時短営業や休業に協力して下さっています。医療、福祉、教育、流通、運輸、消毒、行政をはじめ様々な分野の多くの方々が、感染リスクに晒されながらも国民の生命と暮らしを守るために激務に耐えて働き続けて下さっています。日本は、本当に凄い国だと思います。
「ワクチンや治療薬の国内生産体制」を構築するとともに、「ワクチン接種の促進」や「治療薬の早期投与が可能な環境を作ること」で「重症者数・死亡者数の極小化」に重点的に取り組み、一人一人が引き続きマスクの着用や消毒など「衛生対策」に留意したならば、状況は徐々に改善していくと考えています。
「今、ロックダウンが必要かどうか」ということについては、様々な考え方があると思いますので、専門家も含めて多くの方々からの情報も収集しながら、内閣や各党における論点整理の場が必要です。
ただし、エボラ出血熱など死に至るまでの時間が短い感染症のリスクもありますから、新型コロナウイルス感染症に限定して考えずに、「様々な感染症への備え」としての法制度整備が必要か否かという観点で議論しなければならない課題です。
別途、テロ発生時や武力攻撃を受けた時、海外で邦人が危険に晒される可能性が高い時などに、外出禁止、渡航禁止など、生命を守る目的に限定して、一定の自由や権利の制限ができるように、日本国憲法も含めて法制度整備をしておく必要性については、海外における様々な事件(日本人が犠牲になった事件もあります)から痛感しています。
大胆ですばやい財政措置
飲食店をはじめ様々な事業者への時短・休業要請を行う場合には、事業主体を存続させるために十分な資金手当を行うことが必要だと考えます。
既に国会で成立した『新型インフルエンザ等対策特別措置法』の第45条2項3項、第79条では、施設管理者等に要請を行い、正当な理由がないのに要請に応じない場合は、一定の条件のもとに命令を行い、命令違反に対して過料を科す仕組みになっています。
新型コロナウイルス収束後には、買い物、外食、旅行など、我慢していた消費が爆発的に増える「消費急増期」が到来するはずです。その時に経済の担い手となる事業主体が消滅していては話になりません。
むしろ手厚い支援を行い、地方においても、今のうちに「選ばれる商品・サービス」の準備を行っていただけるような環境を整えることが、中期的に日本経済の回復に資するものだと考えます。
そこで、今年5月28日に、自民党の同志議員とともに、菅義偉総理宛の提言書を提出しました。
■コロナ禍前の令和元年度の課税所得と2年度課税所得の差額の8割を、税理士会の協力を得て還付金用口座に振込むこと
■小規模事業者には、100万円と200万円の持続化給付金を再支給すること(減収要件を3割にする)
■生活困窮者に、特別定額給付金10万円を再支給すること
■予備費残額3兆9880億円(5月時点)を早期に活用し、不足分は補正予算で措置すること
などの内容です。このような提言活動も、与党議員にとっては内閣への応援の一環です。
しかし、補正予算の編成がないまま通常国会は閉会となり、私達の落胆は大きいものでした。特に使途の自由度が高い地方創生臨時交付金について、地方創生臨時交付金の繰り越し分は枯渇しかけています。
命を守り、今後の経済再生を可能にするために、様々な財政措置が必要な時です。今でも、早期の補正予算編成には期待を繫いでいます。