【わが政権構想】新型コロナ対策、私ならこうする|高市早苗

【わが政権構想】新型コロナ対策、私ならこうする|高市早苗

「菅降ろし」の意図はまったくない。現状の閉塞感を打破して、日本のあるべき姿、真に必要な政策を活発に議論するために総裁選出馬を決めた――。女性初の総理大臣を目指す高市早苗議員が、新型コロナ対策のすべてを語った!


ワクチン接種の課題

田村厚生労働大臣や河野内閣府特命担当大臣が懸命に頑張って下さっていますので、11月頃にはほとんどの方が2回目のワクチン接種を終えられる見込みだと聞いています。それでも、周囲には、未だ1回目の接種を受けられないという方も多くおられます。

3回目の接種の段取りや、今後の別の感染症への対策として、ワクチン接種の優先順位についても、検証をしておく必要があると思います。

今年、医療従事者を優先したのは正解でしたが、医療従事者の接種が完了しないうちにご高齢の方々への接種を開始しましたので、結果的に医療従事者の接種完了までに時間がかかり過ぎました。さらに、医療機関に出入りしておられる多くの関係事業者への接種が遅れていました。

また、学校や幼稚園や保育園の教職員、福祉施設の職員の皆様への接種も遅れていたことから、随分、苦情のお声を伺っていました。

鍼灸マッサージ店、理髪店、美容室など、顧客の体や髪に直接触れる職業の方々も、優先接種の対象ではありませんでした。食品や日用品など生活必需品を製造・運送・販売しておられる方々も、タクシーやバスや鉄道など交通機関に勤務しておられる方々も同様でした。

いずれも、地方公共団体によって差異があったのだと思いますが、清掃事業者、ビルメンテナンス事業者への接種が遅れていたのも気になった点です。オリンピックのボランティアの方々が開会までに2回の接種を終えることができなかったことも報じられていました。
 
特に、国防を担い、災害出動もしなければならない自衛官のワクチン接種が遅れており、これは従前からの課題です。

自民党の国防部会から内閣に対して、「自衛官の早期接種」について要請が行われたものの、結局は、モデルナ社製ワクチンの試験的接種で1万名、大規模接種会場の残余枠を活用しての接種しかできず、東京都のように地方公務員である警察官や消防士を優先接種する動きは見られませんでした。

他方、在日米軍基地では、基地内で働く日本人従業員にも早期に接種が開始されており、自衛官の皆様は疑問を抱いたことだろうと思います。

自衛官にもワクチン優先摂取を!

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10年以上も前のことですが、2009年10月27日に、私は当時の民主党政権の鳩山内閣に対して、『自衛官に対する新型インフルエンザ・ワクチン接種の時期等に関する質問主意書』を提出しました。

「自衛官は、日本国民の生命及び日本国の領土や独立統治を守る為に重要な国防の任にあたっており、今後、新型インフルエンザの流行が深刻な事態となった場合には、社会機能を維持する為に出動を要請される可能性もあり、優先的にワクチン接種を受けることが望ましい者にあたると考える。従って、次の事項について質問する。自衛官は、優先的にワクチン接種を受けることが望ましい者にあたると考えるか。前問への回答の理由は何か。(後略)」という内容でした。

同年11月6日に鳩山由紀夫総理から衆議院議長宛に届けられた答弁書には、
「今般の新型インフルエンザのワクチンの接種事業において、新型インフルエンザによる死亡、重症化のおそれが高い者及びインフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(以下「医療従事者等」という)を優先接種対象者としているのは、新型インフルエンザの重篤性が季節性インフルエンザと同程度とされている一方で妊婦や基礎疾患を有する者等は重症化する可能性が高いこと、今後更なる感染者の増加が見込まれる中で、必要な医療提供体制を確保する必要があること、当面、ワクチンの供給が順次行われていくことなどを勘案してのものである。したがって、現状においては、自衛官が医療従事者等と同じ意味で優先的にワクチン接種を受けることが望ましい者に当たるとは考えていない。(後略)」
と書かれていました。
 
今夏も相次ぐ災害の現場に、多くの自衛官が派遣されています。現状でも、民主党政権と同様の対応になっていることについては、与党の一員として申し訳なく、残念でなりません。

優先接種の順番のみならず、接種の申し込み方法、接種会場が混み合わない工夫、残余ワクチンの廃棄が発生しない方法など、今年の様々な学びを今後の感染症対策に活かして、国と地方公共団体と医療従事者が力を合わせて、しっかりとしたマニュアルを整えておく必要があると考えます。

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