コロナ対応を狂わせる「医系技官」のひどすぎる実態|八幡和郎(評論家)

コロナ対応を狂わせる「医系技官」のひどすぎる実態|八幡和郎(評論家)

コロナ対策でにわかに注目されている厚労省の「医系技官」。 しかし、彼らは霞が関の「獅子身中の虫」だった! 医療界の内情に詳しい筆者が、その知られざる実態を暴く!


選手村への異常なヘイト言論

しかし、こんな重大な人権侵害発言を、マスメディアが攻撃しないのはおかしいし、それを追及しない与党も、処分しない立憲民主党もどうかしている。

医療機関が国籍で差別することは、許されない。もちろん、医療保険制度とか、医療補助については、必ずしもそうでないが、二国間、多国間協定を結んで居住国の制度を利用できるようにすることが望ましい。

また、高額医療を目的とする移住などを防ぐことも、許されるだろう。しかし、どっちにしても、救急や疫病で倒れたときに、内国民優遇などとんでもないことだ。日本人が外国で同じ目にあったらと想像力も働かして欲しい。

選手村への酒持ち込みに反対する異常なヘイト言論も許しがたい。なにも、日本人に対する自宅やホテルでの飲酒を禁じているわけでない。それならどうして選手村で飲酒してはいけないのか。

そういうのは、許容範囲を超えるヘイト言論であろう。「おもてなし」とかいって調子のいいこといっていたのは日本人でなかったのか。五輪を誘致するときは、歯の浮いたような国際人を装っていたこととの落差が大きいのは、あまり良い気持ちのものではない。

霞が関の獅子身中の虫

ところで、今回のコロナ対策は、安倍内閣や菅内閣のイニシアティブで進められていると思っている人が多い。

しかし、その実態は、肝心なところは、尾身会長のような医学界の重鎮、医師会や病院など医療界の総意の反映であって「医系技官」が政府内の代理人になって牛耳っているという仕組みだ。だから、総理の意向といっても、聞き流されている。

 コロナ対策でにわかに注目されている厚労省の「医系技官」は、医師資格を持つ官僚だが、これが「霞が関の獅子身中の虫」になっている。コロナ戦争の戦時下なのに、唯我独尊で動きが鈍い医者たちの盾になって、国民を苦しめている。

 たとえば、初期にアビガンという治療薬が少なくとも症状緩和に効くというので、当時の安倍首相からもできるだけ承認を急いで欲しいと指示があったが、結局、ポーズだけで、いまだもって承認されていない。
 
幹部が安倍氏の病状の情報を大学ルートでつかんで、サボタージュしているという噂さえ流れたが、鶴の一声でワクチン承認と接種を進めたトランプ、ジョンソン、ネタニエフといった成功している国の指導者のようには、日本ではさせてもらえないのだ。

「技官」は東京大学などの法学部など出身で公務員試験を通ってきた霞ヶ関の典型的な「官僚」とは、別の人事と論理で動く官僚たちの存在だ。
 
彼らは、省庁の職員だが、同時に専門家集団によって構成される一種の「マフィア」の一員で、政府や省庁の一員であるよりそちらの立場を優先させがちだ。

いちばんひどいのは法務省で、技官ではないが、検察官が幹部を占めているので、国際的に問題になっている「人質司法」の改革などできるはずがない。
 
最強の技官は、国土交通省の土木や建築系の技官だ。土木技官はどこの公共工事を優先するか、どういう方法で建設するかなど支配的な力を持っている。

また建築技官は建築基準法などをどうするかとか、どういう住宅設備を認めるかとかに力を振い、それに事務官僚が介入することはほとんど不可能だ。
 
専門家の意見として妥当なことも多いが、やはり過剰なことも多い。たとえば、住宅に火災報知器や換気扇を各部屋に設置する必要があるのだろうかと疑問に思っている人も多いだろう。

家を建てる場合、総額のなかに隠されているが、いささか過剰な規制のために、コストがかなり上がることも多いのだ。
 
専門家の判断はよく聞くべきだし尊重もした方がいいが、ほかの専門家の意見も聴くべきだし、最終判断は、国民の負担が過剰にならないように、政治がすべきものだ。

高級官僚は事務系であろうが技術系であろうが、法律や土木など専門分野の知識を問われるほか、一般教養試験も大きな比重を占める。
 

医療界が言いたい放題の理由

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