いずれも正しい指摘である。国際機関の改革は、現実問題として、最大の資金拠出国である米国を中心に「カネの力」にものを言わせなければ進まない。日本も、トランプ政権ともども、WHOが再び台湾を総会の場に参加させるまでは拠出金を凍結し、その間、独自に途上国を支援するという対応に出るべきだった。
バイデン政権が掲げる国際協調、国際機関重視が、台湾をいかなる場合でも排除しようとする北京の策動を黙認することを意味するなら、独裁体制との戦いという時代の要請に逆行する。武漢発のパンデミックはまだ続いている。次回のWHO総会に台湾を参加させるため、バイデン政権は具体的にどう動くのか。何ら動かないのか。この政権の対中姿勢を占う重要な試金石となる。(2021.02.22国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
福井県立大学教授、国家基本問題研究所評議員・企画委員、拉致被害者を救う会全国協議会副会長。1957年大阪府生まれ。京都大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。著書に『アメリカ・北朝鮮抗争史』など多数。