朝日新聞と財務省が手を染めた「嘘」と「偽造」|小川榮太郎

朝日新聞と財務省が手を染めた「嘘」と「偽造」|小川榮太郎

小川榮太郎


財務省の今回の決裁文書の改竄は、朝日の一連の歪曲・捏造による倒閣運動同様、これまた言葉を失う酷さである。

財務省の報告書は78ページ、300カ所に及ぶ改竄が行われていた。財務省の報告によれば、平成29年2月から4月、つまり2月15日の国会での森友追及の直後から4月の間に、本省からの指示で近畿財務局が決裁した文書の書き換えが行われていたとのことだ。当然、国会答弁対策ということになる。

言うまでもなく、政権側の与り知らぬことである。平成30年3月2日付の朝日新聞が、「森友文書 書き換えの疑い 財務省、問題発覚後か」というスクープを打ったあと、政権と自民党は財務省に調査を要求した。確認できる資料が手元に残っていないというのが財務省の報告だった。そこで官邸は、近畿財務局も含めた徹底的な再調査と、検察への調査協力を要請するよう、再度財務省に命じた。

一方、5日、国交省から官邸に、同省が財務省からもらい受けていた決裁文書と財務省の最終公表版が違うことが報告され、それを受けて、改めて官邸は、財務・国交両省に文書の提供と突き合わせを命じた。7日には自民党からも強い調査要求が出される。最終的に、籠池氏の詐欺事件で証拠書類として検察が押収していた財務省のパソコンデータが10日に財務省に戻され、それを受けて11日夜、財務省が詳細な報告を官邸に上げたというのが事の経緯のようだ。

驚くべき始末記だ。

偶々詐欺事件のために財務省のデータが検察の手元にあったからこそ決裁文書の改竄がバレたわけで、そうでなければ、財務省は政権にも与党にもシラを切りとおしたことになっただろう。政権が無理をして改竄の実態を暴いたのである。政権がその改竄を主導したはずがない。

では、誰がなぜ改竄したのか。  膨大な改竄は、ほぼ全て、森友学園と近畿財務局・本省との交渉を丸ごと削除するものだ。

(決裁文書は)安倍昭恵夫人の安倍が安部になっていたり、籠池氏の細かい発言が記録されているなどから見て、現場メモ的な交渉記録をそのまま決裁文書に添付したのだろう。違法性があるわけではない。

拙著『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪 (月刊Hanada双書)』で詳細を復元したとおり、たしかに国有地売却の処理は、全体に籠池氏の交渉に極力応ずるべく前のめりとは言える。しかし、近畿財務局が決裁文書に掲載するという判断ができたレベルの交渉だったのであって、そこに不正や不当な圧力があるとの認識がなかったのは間違いない。

では一体、なぜこんな些末な交渉過程の具体的な記述が大量に削除されたのだろう。

不可解な虚偽答弁

関連するキーワード


小川榮太郎 朝日新聞 著者

関連する投稿


日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

今年の政治における最大のニュースは、10月の衆院選での与党過半数割れであると思う。自民党にとって厳しい結果であるばかりか、これによる日本の政治の先行きへの不安や、日本の昨年の名目GDPが世界第4位に落ちたことから、経済面においても日本の将来に悲観的な観測をお持ちの方がいらっしゃると思う。「先行きは暗い」とおっしゃる方も多くいる。一方で、今年決定したことの中では、将来の日本にとても希望が持てるものが含まれている――。


「103万円の壁」、自民党は国民民主党を上回る内容を提示すべき|和田政宗

「103万円の壁」、自民党は国民民主党を上回る内容を提示すべき|和田政宗

衆院選で与党が過半数を割り込んだことによって、常任委員長ポストは、衆院選前の「与党15、野党2」から「与党10、野党7」と大きく変化した――。このような厳しい状況のなか、自民党はいま何をすべきなのか。(写真提供/産経新聞社)


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

我が党はなぜ大敗したのか|和田政宗

衆院選が終わった。自民党は過半数を割る大敗で191議席となった。公明党も24議席となり連立与党でも215議席、与党系無所属議員を加えても221議席で、過半数の233議席に12議席も及ばなかった――。


衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

衆院解散、総選挙での鍵は「アベノミクス」の継承|和田政宗

「石破首相は総裁選やこれまで言ってきたことを翻した」と批判する声もあるなか、本日9日に衆院が解散された。自民党は総選挙で何を訴えるべきなのか。「アベノミクス」の完成こそが経済発展への正しい道である――。


最新の投稿


【今週のサンモニ】アクロバティックな「トランプ叩き」はやめましょう|藤原かずえ

【今週のサンモニ】アクロバティックな「トランプ叩き」はやめましょう|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【今週のサンモニ】勘違いリベラル番組、今年もスタート|藤原かずえ

【今週のサンモニ】勘違いリベラル番組、今年もスタート|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


なべやかん遺産|「自分の家でしか見た事がないコレクション」

なべやかん遺産|「自分の家でしか見た事がないコレクション」

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「自分の家でしか見た事がないコレクション」!


【今週のサンモニ】年の瀬に傲慢溢れるサンモニです|藤原かずえ

【今週のサンモニ】年の瀬に傲慢溢れるサンモニです|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】中国は「きれいなジャイアン」になれるのか  エルブリッジ・A・コルビー『アジア・ファースト』(文春新書)

【読書亡羊】中国は「きれいなジャイアン」になれるのか エルブリッジ・A・コルビー『アジア・ファースト』(文春新書)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!