バイデン政権を「身体検査」する!|島田洋一

バイデン政権を「身体検査」する!|島田洋一

どの色に染まるか分からない「カメレオン左翼」カマラ・ハリス副大統領を筆頭に、警戒すべきジョン・ケリーや党官僚タイプのアントニー・ブリンケンなどバイデン政権の閣僚をいち早く「身体検査」することで見えてきた新政権の実像。


どの色に染まるか分からないカメレオンぶり

ハリスのカメレオン的な「体色変化」の具体例を見ておこう。  極左のジャンヌ・ダルク、アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(以下、略称のAOCを用いる。1989年生)を旗頭に民主党内の左派は、反炭素原理主義の立場から、シェールガス、シェールオイルの採掘に関しフラッキング(水圧破砕)を禁止するよう求めてきた。  

石油、天然ガス等、化石燃料を利用すること自体に反対であるうえ、採掘過程で地下水汚染、大気汚染を引き起こし、周辺に深刻な健康被害をもたらしかねないとの理由からである。  

ハリスは当初、この極左の意見に同調し、フラッキングは禁止せよとの立場を取った。しかし民主党員にも、石油、天然ガス関連の仕事で生計を立てている者は多い。特に2020年大統領選の激戦州テキサス、ペンシルベニア等においてそうである。選挙戦が進むにつれてハリスは、立場を急旋回させ、フラッキング禁止に反対と明言するに至った。ハリスほど揺れが大きくないにせよ、バイデンも同様であった。  

しかし、不満をあらわにする極左をなだめるため、政権発足後には環境規制を強化して、実質的にフラッキングを難しくするといった方針も示唆し、結局、どの色に染まるか分からないカメレオンぶりは、バイデン、ハリスとも維持している。

周庭に言及ナシ、中国の人権蹂躙には無関心

Getty logo

ハリスにおける最大の懸念材料は、その対中姿勢である。  

2020年12月2日、中国共産党(以下、中共)の影響下にある香港の裁判所が、「違法集会煽動」などの罪で、数名の民主活動家に実刑判決を下した。そのなかには、若い女性闘士の周庭も含まれている(禁錮10カ月)。当然、弱者の人権の守護神をもって任じ、女性でアジア系(母方)である旨も強調してきたカマラ・ハリスから、周庭を励まし、中共を厳しく非難するコメントが出るはずと期待したが(というとになるが)、案の定、何の批判的発信も見られなかった。見事にゼロである。  

日本のメディアでは、「アメリカでは民主党のほうが人権に厳しい」とのコメントがよく載る。しかしこれもまた、米主流メディアを受け売りしたフェイク(偽)ニュースに過ぎない。 「警察の人種偏見」やLGBT差別など国内の人権問題は歪曲まじりに追及するが、中国の人権蹂躙には関心を示さないタイプが、むしろ民主党のほうに多い。ハリスはその典型と言える。 「自由の闘士」(freedom fighters)への共感と支援を常に掲げたロナルド・レーガン大統領の衣鉢を継ぎ、各種の対中制裁法案を主導してきたマルコ・ルビオ、テッド・クルーズ両上院議員などを擁する共和党のほうが、はるかに中共の人権蹂躙糾弾で一貫した姿勢を取っている。  

ちなみに2020年8月、トランプ政権が香港の林鄭月娥行政長官らに制裁を科したことに対抗して、中国側が「香港問題で言語道断な振る舞いをした」6人の米議員を制裁対象にすると発表したが、上述のルビオ、クルーズはじめ全員が共和党所属だった。

関連する投稿


チャーリー・カーク暗殺と左翼の正体|掛谷英紀

チャーリー・カーク暗殺と左翼の正体|掛谷英紀

日本のメディアは「チャーリー・カーク」を正しく伝えていない。カーク暗殺のあと、左翼たちの正体が露わになる事態が相次いでいるが、それも日本では全く報じられない。「米国の分断」との安易な解釈では絶対にわからない「チャーリー・カーク」現象の本質。


ヨーロッパ激震!「ロシア滅亡」を呼びかけたハプスブルク家|石井英俊 

ヨーロッパ激震!「ロシア滅亡」を呼びかけたハプスブルク家|石井英俊 

ヨーロッパに君臨した屈指の名門当主が遂に声をあげた!もはや「ロシアの脱植民地化」が止まらない事態になりつつある。日本では報じられない「モスクワ植民地帝国」崩壊のシナリオ。


【新シリーズ! 島田洋一の国会閻魔帳②】家族別姓法案の愚 高市案に同意する|島田洋一【2025年3月号】

【新シリーズ! 島田洋一の国会閻魔帳②】家族別姓法案の愚 高市案に同意する|島田洋一【2025年3月号】

月刊Hanada2025年3月号に掲載の『【新シリーズ! 島田洋一の国会閻魔帳②】家族別姓法案の愚 高市案に同意する|島田洋一【2025年3月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

トランプ再登板、政府与党がやるべきこと|和田政宗

米国大統領選はトランプ氏が圧勝した。米国民は実行力があるのはトランプ氏だと軍配を上げたのである。では、トランプ氏の当選で、我が国はどのような影響を受け、どのような対応を取るべきなのか。


新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

新総理総裁が直ちにすべきこと|島田洋一

とるべき財政政策とエネルギー政策を、アメリカの動きを参照しつつ検討する。自民党総裁候補者たちは「世界の潮流」を本当に理解しているのだろうか?


最新の投稿


自公連立解消!? 公明党は高市さんともやっていけます|伊佐進一【2025年11月号】

自公連立解消!? 公明党は高市さんともやっていけます|伊佐進一【2025年11月号】

月刊Hanada2025年11月号に掲載の『自公連立解消!? 公明党は高市さんともやっていけます|伊佐進一【2025年11月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


【今週のサンモニ】時間差で起きた谷口真由美vs寺島実郎|藤原かずえ

【今週のサンモニ】時間差で起きた谷口真由美vs寺島実郎|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


「信じるか、信じないかはあなた次第」コナン・ドイルとトーマス・エジソンがはまった“見えない世界”|松崎いたる

「信じるか、信じないかはあなた次第」コナン・ドイルとトーマス・エジソンがはまった“見えない世界”|松崎いたる

信じたいものを信じる―ーそれが人間の根本的心理。オカルトにはまった偉人たち。コナン・ドイルとトーマス・エジソンが追い求めた「妖精」と「心霊」。私たちは、ドイルやエジソンの試行錯誤を「馬鹿げている」などと笑うことは決してできない。


抗日戦争勝利記念式典は「世紀の大噓」|古森義久【2025年11月号】

抗日戦争勝利記念式典は「世紀の大噓」|古森義久【2025年11月号】

月刊Hanada2025年11月号に掲載の『抗日戦争勝利記念式典は「世紀の大噓」|古森義久【2025年11月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。


【独占スクープ!】元局長の公用PC文書入手!斎藤兵庫県知事「無罪」の決定的証拠|新田哲史【2025年11月号】

【独占スクープ!】元局長の公用PC文書入手!斎藤兵庫県知事「無罪」の決定的証拠|新田哲史【2025年11月号】

月刊Hanada2025年11月号に掲載の『【独占スクープ!】元局長の公用PC文書入手!斎藤兵庫県知事「無罪」の決定的証拠|新田哲史【2025年11月号】』の内容をAIを使って要約・紹介。