中国は何一つ悪くない
米国のサイバーセキュリティー・センターのウィリアム・エバニナ所長がロシア、中国、イランなどが2020年の大統領選挙に関与しようとしていると声明を発表した時には、「中国は関与したことはないし、興味もない」 「米国内の一部の者は中国を米国内の政治的手口に引き込むことを直ちにやめるべきだ」と表明。
あくまで、米国が中国の内政に干渉し、中国の利益を損なっているのが先で、中国の正当で必要な反応が後だという。
しかし、台湾問題には敏感に口をはさむ。米国のアザー厚生長官が台湾を訪問した際には、「中国の核心的利益にかかわる問題において幻想を抱くべきではない。火遊びをすれば必ず大やけどする」と非難。台湾当局に対しても、「新型コロナウイルスを理由に、台湾独立をたくらむのは行き止まりへの道だ」などと牽制するのを忘れない。
舌鋒は、もちろん日本にも向けられている。
日本が防衛白書で、尖閣諸島周辺で中国側が一方的な現状変更の試みを執拗に継続していると指摘すると、「偏見と虚偽情報に満ち、中国の脅威を煽り立てており、でっちあげの資料だ」と反発し、日本側に「厳正な申し入れ」を行ったという。
そして現在の防衛問題を論じているにもかかわらず、「今年は中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利75周年だ。日本は歴史を鑑とし、対立を激化させるのをやめるべきだ」と、歴史認識問題カード・を持ち出して責め立てた。
菅首相が靖國神社に真榊を奉納し、少数の国会議員が同神社を参拝したことについても、
「靖國神社は日本軍国主義が対外侵略戦争を発動した精神的な道具および象徴であり、あの侵略戦争に重大な罪責を負うA級戦犯14人が合祀されている。日本の消極的行動は、侵略の歴史に対する誤った姿勢を改めて示すものだ。
日本が侵略の歴史を直視・反省するとの姿勢表明と約束を適切に順守し、実際の行動によってアジアの隣国と国際社会の信頼を得るよう促す」
と、これまで信頼を得るような行動を何一つしていない自国を顧みずに発言。それもそのはずで、天安門事件から31年を迎えた際の会見で、
「中国の建国70年あまりの業績をみれば、中国が選択した発展の道が完全に正しく、中国の国情にもあっていたことがわかる。われわれは引き続き、中国の特色ある社会主義の道を断固、進んでいく」
と当時の対応、そしていまの中国の状況を改めて正当化。結局のところ、今も昔も「中国は何一つ悪いことはしていない」という態度で一貫している。