傲岸不遜、厚顔無恥な暴言を繰り返す中国要人たち|潮匡人

傲岸不遜、厚顔無恥な暴言を繰り返す中国要人たち|潮匡人

11月24日、中国の王毅国務委員兼外交部長が茂木外相と会談、その後の記者会見での発言は、盗っ人猛々しいことこの上ない発言だった。振り返ってみれば、王毅外相に限らず、報道官たちがこれまでも無礼千万な暴言を繰り返していた。何故日本は反論しないのか!?


挿絵はフェイクではない?

放言や暴言を恥じないのは、外相ひとりではない。まず最近では、中国外務省の趙立堅報道官を忘れてならない。

2020年3月、「この感染症は、米国軍が武漢に持ち込んだものかもしれない」との粗雑な謀略説をツイッターに投稿した。批判を受けて翌月、「米国の一部政治家が中国に汚名を着せようとしたことへの反応であり、中国人の多くが抱いた義憤を反映したものだ」と説明したが、釈明になっていない。

11月18日、「ファイブアイズ」(米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージランドの五カ国からなる秘密情報共有機構)メンバー国の外相が、中国が香港での批判的な声を封じ込めるために組織的活動を行い、国際的な義務に違反していると非難する共同声明を発表。

これに対し、趙氏は翌19日の記者会見で、「『ファイブアイズ』が中国の主権、安全、発展の利益を損なおうとするなら、目を突かれて失明しないよう気をつけろ」と威嚇。

11月30日には、オーストラリア国防軍の兵士が子供の喉にナイフを当て、殺害しようとしているかのような偽造写真をツイッターに投稿した。豪政府の申し立てを受け、ツイッター社が投稿を削除したが、時すでに遅し。ネット上で写真は世界に拡散された。

こうした経緯があったにもかかわらず、翌12月1日の会見で華春瑩報道局長は、モリソン豪首相の画像の削除と謝罪要求を「自分の過失を棚に上げて人を咎める」と放言しつつ、「写真でなくコンピュータで描かれた挿絵なのでフェイクではない。豪州側の非難自体が虚偽だ」と強弁した。

なんと、中国で「挿絵」はフェイクに当たらないらしい。もはや真面目に批判する気にもなれない。

わざわざ固定ツイートに……。

攻撃しまくる外交官

趙立堅は2020年2月に副報道局長として初めて記者会見を開き、「攻撃的外交官デビュー」として米国などからも注目されており、戦争映画の題名から命名された攻撃的な「戦狼外交」の尖兵だ。

2010年5月にツイッターを開始。オバマ前大統領の国家安全保障担当補佐官だったスーザン・ライス氏から「恥知らずな人種差別主義者だ」と批判された際には、「自分が聞きたくない真実を話す人を人種差別主義者と決め付けるあなたこそ恥知らずだ」と反論をして話題になった。

報道局長になってから、「米国軍が(ウイルスを)武漢に持ち込んだものかもしれない」という投稿で国際社会から反発を受け、釈明したことは前述のとおり。

後日、米国のあるテレビ番組の司会者が中国に謝罪するよう求めた際には、「今回の感染拡大の防止について、中国の能力は国際社会から幅広く称賛されている。各国の人たちの安全のために、中国の国民は巨大な犠牲を払った」と開き直るように自画自賛をする始末。

FBIが新型コロナウイルスを研究する米国の企業や研究機関を狙って中国がサイバー攻撃やスパイ行為を行い、ワクチンや治療薬などの情報を盗もうとしている疑いがあると警告を発表した際には、米国は全世界で情報を盗み出すためにサイバー攻撃を行ってきたと指摘、「中国はワクチン研究において世界トップクラスであり、中国のほうこそ情報を盗まれることを心配する理由がある」と反論。

そのうえで「米国は命を救うことに集中すべきで、他国に罪を着せて責任転嫁をしないよう促す」とまで牽制し、悪いのは中国ではなく米国なのだ、という姿勢を崩さない。

香港の国家安全法に関して、米国が国連安全保障理事会にビデオ会議の開催を要求したことに対しても強気だ。

定例記者会見で、安保理は米国がほしいままに操ることのできる道具ではなく、中国と国際社会の正義を主張する国は米国が自らの政治的目的のために安保理を「人質」にすることを許さないと強調。さらに次のように述べた。

「米国のやり方は完全に理不尽な騒ぎ立てることである」

「この問題は完全に中国の内政で、いかなる外国も干渉の権利がない」

問題ある法律を制定したから、それについて会議を行おうという提案のどこが理不尽なのか。干渉する権利がないと言いながら、法の不遡及の原則を無視し、米国にいる運動家の逮捕状を発行しているのは一体どこの国なのか。

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