米国はすでに反中へとシフトしており、中国の描くアジア新秩序を阻止する戦略的競争に舵を切った。今後、米国は日本に防衛費増加や米国が開発中の中距離ミサイルの国内配備を求め、中国に供給する主要技術の制限強化を伝えてこよう。日本はもはや、安保は米国との同盟、経済問題では中立という都合のよい路線では立ち行かない。菅政権が10月に、日米豪印4カ国の外相会議を日本で開催する意向であることは評価できる。中国による問答無用の領土拡張主義には、これを断固阻止する決意と行動と結束を示さなければならない。菅政権は腹をくくるときを迎えた。(2020.09.23 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
産経新聞客員論説委員、国家基本問題研究所主任研究員。1948年、東京都生まれ。中央大学法学部卒、プリントン大学公共政策大学院Mid‐Career Fellow program修了。産経新聞入社後に政治部、経済部を経てワシントン特派員、外信部次長、ワシントン支局長、シンガポール支局長、特別記者・論説委員を歴任。2018年6月から現職。著書に『全体主義と闘った男 河合栄治郎』、『中国が支配する世界 パクス・シニカへの未来年表』など多数。