金正恩氏と与正氏は、現在の危機は文在寅氏が約束通りの経済支援をしないからだと昨年末に立腹し、4月の総選挙後に文在寅をたたくとを決めていたというが、いくら文在寅たたきや軍事挑発をしても、外貨は入らない。ただ、6月第2週ごろ、中国が極秘に石炭の密輸出を見逃すと伝えてきて、北朝鮮の貨物船が中国の大連、青島、丹東に石炭を運び込んでいる。北朝鮮内では各機関が石炭密輸の権限をめぐって争っている。明確な国連制裁違反を犯してでも助けないと金正恩政権は倒れるかもしれないと習近平中国国家主席が判断したようだ。だからこそ、われわれは中国の制裁破りを徹底的に見張って止めなければならない。
経済制裁と中国・武漢発のコロナウィルス蔓延(まんえん)で北朝鮮の体制危機は深刻化し、急浮上した与正氏は文在寅政権と一切の関係を絶つことを「指示」し、内部の不満を抑えようとしている。与正氏は南北連絡事務所爆破に続く軍事挑発を軍に検討させている。(2020.06.22国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
著者略歴
モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授。1956年、東京生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。82〜84年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。90〜02年、月刊『現代コリア』編集長。05年、正論大賞受賞。17年3月末まで、東京基督教大学教授。同4月から、麗澤大学客員教授・モラロジー研究所「歴史研究室」室長。著書に『でっちあげの徴用工問題 』など多数。