金正恩最大のタブー「母は在日朝鮮人」|李英和

金正恩最大のタブー「母は在日朝鮮人」|李英和

「重大な実験」を繰り返すなど挑発行動を活発化させる北朝鮮。実は国内で今もなお金正恩委員長の神格化作業が足踏みを続けていることはあまり知られていない。なぜなのか? そこには金正恩の生母にまつわる「不都合な真実」という決して乗り越えられない絶壁がある。国家機密にまで指定された金正恩体制の「アキレス腱」にして最大のタブー!その真実に迫る。  


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1997年に禁じられた後継者論議

実は、高英姫の神格化作業は前期と後期の2段階に分かれる。  

前期は、1998年から高英姫がパリで客死する2004年8月までの間である。金正日が水面下で徐々に過熱する後継論に危機感を抱き、1997年には後継者論議を禁じた。  

それにもかかわらず、李明秀大将を中心とする軍部勢力が、高英姫の長男を後継候補に担ごうと画策した。李明秀大将は、当時「人民軍の門番」と異名を取る軍の大実力者だった。李明秀は現在、人民軍序列第一位の元老として君臨する。  

その軍部は、高英姫を「人民軍の母」と称して神格化する作業を活発に繰り広げた。金正日の実妹夫婦(金慶喜と張成沢)が推す有力な後継候補、金正日の長男=金正男に対抗する動きだった。記録映画で使われた高英姫映像の大半がこの時期に撮り溜めされたので、軍部隊の視察場面が圧倒的に多い。  

金正男が軍部を嫌ったので、軍部も金正男を嫌った。前期の高英姫神格化作業は、長男の金正哲を後継者に推し上げる動きだった。次男の金正恩は1998年当時、まだ10代の少年で、後継候補としては「規格外」だった。この軍部中心の動きは、金正男が成田空港で入管難民法違反の容疑で逮捕・拘束される2001年に絶頂期を迎える。

後継者の座をほぼ手中にしていた金正男が、なぜ日本で逮捕されたのか?

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