金正恩最大のタブー「母は在日朝鮮人」|李英和

金正恩最大のタブー「母は在日朝鮮人」|李英和

「重大な実験」を繰り返すなど挑発行動を活発化させる北朝鮮。実は国内で今もなお金正恩委員長の神格化作業が足踏みを続けていることはあまり知られていない。なぜなのか? そこには金正恩の生母にまつわる「不都合な真実」という決して乗り越えられない絶壁がある。国家機密にまで指定された金正恩体制の「アキレス腱」にして最大のタブー!その真実に迫る。  


経済の失政が体制の危機に直結

市場経済の発展は、共産党の一党独裁と両立できる。それは中国とベトナムの事例が証明する。だが、「赤い身分制度」に基づく世襲独裁と共生共存が可能かどうかは怪しい。  

身分制支配の価値観が強固であれば、経済の混乱も体制の致命傷にはならない。先代の金正日政権下、経済失政による人災で、国民の「10人に1人」が犠牲になる大飢饉(1993~99年)が起きた。それでも「廃位」の声はわき上がらなかった。だが、金正恩政権では話が違ってくる。  

金正恩は体制維持の支柱に新たな価値観「経済的な豊かさ」を据えようと図る。神格化不足による苦し紛れの選択だが、これでは経済の失政が体制の危機に直結しかねない。金正恩政権は、墜落の危険を孕んだ「片肺飛行」なのである。

著者略歴

李英和

https://hanada-plus.jp/articles/257

関西大学教授。1954年、大阪府生まれの在日朝鮮人3世。関西大学経済学部(夜間部)卒業、同大学院経済学研究科博士課程修了。関西大学経済学部助手、専任講師、助教授を経て、2005年から現職。北朝鮮社会経済論専攻。1991年4月〜12月、北朝鮮のシンクタンク「朝鮮社会科学院」に留学。著書に『暴走国家・北朝鮮の狙い』など多数。

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