要するに、伊藤氏が証言する山口氏による強姦・傷害事件は狂言だったのである。
その彼女が、第1弾(月刊『Hanada』10月号)と一連の「ファクトチェック」動画での私による異議申立てに一切反証せぬまま、「性的同意」の有無を語る新しい「性被害者」として公の場に登場したわけだ。
卑怯千万と言う他はない。ここまで散々山口氏について強姦暴行犯罪者という致命的な悪評を流布しておいて、それらが反証された途端、それを黙って引っ込め、実証不可能な同意の有無を言い立て始める。
一体、どちらが本当なのか。
山口氏は強姦、暴行の凶悪犯罪者だったのか。それとも、そんなことは一切なく性的同意があったかなかったかだけが問題だったのか。
伊藤氏は「性被害者」の役割を演じ続ける前に、この点をはっきりさせなさい。
伊藤氏は「性被害者」を演じるだけだから気軽かもしれないが、山口氏はその間、凶悪な「性暴力加害者」との風評を世界中で受け続けねばならないのだ。
が、伊藤氏やその支援者らに、そんな言葉は届きようもないのであろう。
伊藤氏の驚きの豹変に先立ち、伊藤氏の弁護人である角田由紀子氏の長大な独占インタビューが、9月6日付の朝日新聞オピニオン欄に掲載された。
題して『性暴力が無罪になる国』。
その一節に、「ジャーナリストの伊藤詩織さんが実名で『性被害を受けて警察に届けたのに不起訴にされた』と告発し」と出てくる。
性暴力を糾弾する正義の人は、こういう嘘をついてはいけないだろう。
伊藤氏は「性被害を受けて警察に届けたのに不起訴にされた」ことを告発したのではなく、「山口氏に強姦、暴行の数々の凶悪犯罪行為をされた」と告発したのである。
この角田氏の1面記事が掲載される10日前に、私は第1弾(月刊『Hanada』10月号)で、伊藤氏の主張を虚偽だと検証している。この角田氏の記事の1面全面掲載も、伊藤氏のフラワーデモ出席での発言も、私の本誌論文への反応であろう。
だが、彼女たちは直接の言及・反証は一切しない。具体的な疑問の提示は黙殺して、伊藤氏は「性的同意の有無」に話をすり替え、弁護人の角田氏は「警察が不起訴にしたことを告発した」ことに話をすり替えている。
伊藤詩織を従軍慰安婦と同列視
日本共産党
『赤旗』の広告塔、角田由紀子弁護士
性暴力を糾弾する正義の人は、具体的な反証者を黙殺して、自説を都合よく垂れ流してくれる大手メディアとグルになって議論をすり替えるような詐欺行為をしてはならないだろう。
もっとも、角田氏のインモラルな姿勢は確信犯のようである。角田氏は、8月1日に行われた伊藤詩織氏を応援する会で次のような発言をしているからだ。
「被害者のAさんではなくて、このケースだと伊藤詩織ですというふうに言うことがどれだけ説得力を持つかというのは、91年の韓国の元従軍慰安婦だったキム・ハクスンさんがね、最初に名乗り出たでしょう? あのインパクトですよ。それまでは、そんな人いないというふうに言われていたんだけども、彼女が出てきて『いいえ私です』というふうに言ったことでね、世界が揺らいだってことがあったと思うんですね」
角田氏が例に出した元従軍慰安婦のキム・ハクスン氏は強制連行されておらず、証言がコロコロ変わることで、寧ろ支援者内で問題視された人物だ。
だがそれ以前に、従軍慰安婦の強制連行説は朝日新聞自身の誤報であり、朝日新聞への国民の不信を決定づけた事件ではないか。
いま、現に深刻な被害者が多数出ている「性暴力」問題の弁護に当たって、従軍慰安婦問題を持ち出すなど不適切も甚だしくはないか? 両者を結び付けたが最後、多くの日本人はこう思うだろうからである。
「性暴力の訴えと従軍慰安婦が同じ話なんだって? じゃあ、証拠もないのに日本を貶めるメディアのキャンペーンなんだな。真面目に聞く気がすっかり失せたよ」