あの時と同じ服――伊藤詩織という「偶像」
悪魔に魂を売ったとは、こういう人たちのことを言うのであろう。
9月11日付の日刊スポーツの記事に、私は心底、人間としての絶望と嫌悪を覚えた。言うまでもなく、日刊スポーツは朝日新聞系列のスポーツ紙だ。
〈ジャーナリスト伊藤詩織さん(30)が11日、都内で行われた性暴力に抗議する「フラワーデモ」に、約4年前に性暴力被害を受けた当時、着ていた服を、その時以来、初めて着用して参加した。
伊藤さんは、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)から15年4月に性的暴行を受けたとして、損害賠償を求めた民事訴訟を起こしている。【村上幸将】〉
記事の全てが常軌を逸している。
「ジャーナリスト」と書いているが、そもそも伊藤氏は性被害者の役柄を演じる以外、何かジャーナリストと呼べる仕事をしているのか。彼女を「ジャーナリスト」と呼称することにより、彼女の主張に正当性を感じさせるための確信犯的な肩書の付与ではないのか。
が、それはこの記事に限らない。伊藤氏支援者全てに共通するプロパガンダへの無恥な加担である。何よりの驚きは、この記事が伊藤氏が「性暴力被害を受けた」と断定している点だ。伊藤氏が山口氏を告発したこの件は、刑事訴訟としては不起訴になっている。
第1弾に詳しく書いたように、伊藤氏の主張には、第3者の証言や物証、カルテも1つも存在しない。
それどころか、彼女の主張を否定する証人、監視画像、カルテは多数残っているうえ、言い分そのものがコロコロ変わり、そもそも彼女が本当はどんな被害にあったと主張したいのかが分からないのである。
山口氏を難ずる人たちは、山口氏への逮捕状が執行される直前に上層部からの圧力で執行が停止となったのは怪しい、山口氏が安倍晋三首相をはじめとする政権幹部と親しいから事件が揉み消されたのではないかという、根拠のない主張を繰り返している。
だが、話は逆なのだ。物証がなく、証言の信憑性の全く定かでない伊藤氏の訴えで、なぜ、事が逮捕状の請求まで進んでしまったのかのほうこそが、寧ろ問われるべきであろう。