韓国でも反日に反対する動きが
実はいま、韓国国内にも「反日は韓国の国益にならない」と考える人たちが一般の国民や政治家にも確実に増えてきています。たとえば、保守政党の自由韓国党の鄭有燮議員や羅卿代表などは、文政権の反日に疑問を呈し始めています。
私は昨年9月に、「慰安婦と労務動員労働者の銅像設置に反対する会」を、10月には「反日民族主義に反対する会」を立ち上げましたが、「反日民族主義に反対する会」の会員はすでに1000人を超えています。会員に話を聞くと、日本に行ったことがあったり、知人に日本人がいて交流を続けていると、「韓国の教科書で教えられたこととぜんぜん違う」と言います。
『反日種族主義』の反響、事務所が襲撃される
私が勤める落星台経済研究所では、李榮薫所長や私を含む六名の研究員が共著で7月に『反日種族主義』を韓国内で発売し、すでに発行部数3万部を突破しました。以前では考えられなかったことです。
この本で述べている「反日種族主義」とは、日本が韓国を支配した歴史に関して、今日の韓国人の通念となっている、何の事実の根拠もなしに嘘で積み上げたシャーマニズム的世界観です。反日種族主義の起源、形成、拡散、猛威の全過程を国民に告発し、その危険性を訴えるためにこの本を企画しました。
本がここまで売れるということは、それほど「反日は間違っている」ということを感じ、「勉強したい」 「他の人たちにも教えてあげたい」と考える韓国人がいるという証左だと思います。
いまは夏休みの季節で、ソウルで一番大きな書店、教保文庫では売上げランキングの第1位~3位までが旅行関連の書籍ですが、第4位が本書です。韓国で社会学のジャンルの本がここまで売れるのは極めて珍しい。
17年前に作家の金完燮氏が『親日派のための弁明』を書き、日本でも話題になったと聞きましたが、韓国では有害図書として立ち読みできないようラップで包まれ、書店の隅っこに目立たないように置かれていました。あの頃と比べても、韓国は明らかに変わってきています。
もちろん、本書に対する学者や専門家、読者からの批判は数多く寄せられていますが、「李宇衍が述べているこの部分がこう間違っている」と具体的な批判、反論は何一つありません。その全てが「あいつは親日派だ」「売国奴」 「土着倭寇」という罵詈雑言です。
私が7月2日にジュネーブの国連欧州本部で開かれたシンポジウムで、「ほとんどの朝鮮人労働者たちは自らの意思で日本に働きに行った」「賃金の民族差別はなかった」と史実を述べたところ、帰国後、事務所で二人の男に襲われました。彼らは私に対して「売国奴野郎」と罵り、ツバを吐きかけましたが、そうしたことしかできないのです。