チャーリー・カーク暗殺と左翼の正体|掛谷英紀

チャーリー・カーク暗殺と左翼の正体|掛谷英紀

日本のメディアは「チャーリー・カーク」を正しく伝えていない。カーク暗殺のあと、左翼たちの正体が露わになる事態が相次いでいるが、それも日本では全く報じられない。「米国の分断」との安易な解釈では絶対にわからない「チャーリー・カーク」現象の本質。


2025年4月29日、チャーリー・カークとジョーダン・ピーターソンの対談動画が公開された[6]。そこでカークが自身のことを多く語っている。

今の米国の学校では、白人男性を加害者、有色人種や女性を被害者と位置づけて、米国の歴史の負の部分ばかりを強調して教えている。さらに、左翼は無神論者なので、キリスト教の価値観を徹底的に否定する。キリスト教徒の白人が黒人奴隷を痛めつけたのが米国の歴史だと教える。それに対して二人はこの対談動画で、奴隷制度を終わらせたのはキリスト教福音派であることを、今の米国の学校教育は徹底的に隠していると批判する。

読者のみなさんはウィリアム・ウィルバーフォースをご存じだろうか。彼は英国の政治家で1807年に奴隷貿易禁止法を実現させ、それが1833年の奴隷制度廃止に結びついた。ウィルバーフォースはキリスト教福音主義の熱心な信者であった。その信仰に基づく人道主義の立場から、人身売買する黒人奴隷貿易は許されないと彼は考えた。そこで、彼は奴隷貿易に反対していたジョン・ニュートン牧師のもとを訪れ、自分も聖職者になりたいと語ったが、国会議員の立場から奴隷貿易廃止に尽力するよう諭されたと伝えられている。

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ウィリアム・ウィルバーフォース

ジョン・ニュートンはもともと船乗りで、自ら奴隷貿易に関わっていた人物である。ところが、ある航海で船が沈没の危機に晒された。そこで神に祈って九死に一生を得たことから改心して牧師となり、それまでの罪を悔い改めて奴隷貿易に反対するようになった人物である。その経験はかの有名な讃美歌「アメージング・グレース」の歌詞となっている。この話を知った上で、ニュートンが書いた歌詞を味わうと、この歌の本当の素晴らしさを理解できるはずだ。

そもそも、我々が大事なものと当たり前のように受け入れている人権、民主主義は、ともにキリスト教に由来している。旧約聖書には、神は自分に似せて人を作ったとある。よって、人間にはみな尊い価値があるというのが西洋文明における人権の由来である。全員平等に一票ずつ与える民主主義も、絶対神を前にすれば、個々人の差など微々たるものだと見なせるという考え方に基づく。

日本の場合、キリスト教のような絶対神がなかったので、天皇をその座に据えることで西洋式の近代化(一人一票の民主主義を根付かせること)に成功した。このことは古くは丸山真男[7]、最近では井沢元彦[8]が指摘している。たしかに世界を見ると、民主主義が定着したのはキリスト教国と日本、かつて日本の統治を受けた台湾、韓国、そしてイギリス統治時代の香港ぐらいである。

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