8647―「トランプ暗殺指令」が示したアメリカの病理|石井陽子

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それはただの遊び心か、それとも深く暗い意図のある“サイン”か――。FBIを率いた男がSNSに投稿した一枚の写真は、アメリカ社会の問題をも孕んだものだった。


トランプが「彼女は偉大な愛国者」と称賛

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ローラ・ルーマー氏

昨年9月という大統領選直前にトランプと急接近したルーマーは、今年4月に国家安全保障会議(NSC)の高官解任劇をめぐって非常に注目された。報道によれば、その解任劇は、彼女が「忠誠心に欠ける」と進言したことがきっかけだったという。トランプも彼女との面会を認めており、「偉大な愛国者」で「非常に強い人」と称賛。提案を受けることもあるが、最終的な判断は自分がすると述べていた。ルーマーの進言によって解任劇があったのかどうかは定かではない。

だがその素性は一筋縄ではいかない。ルーマーは2001年の米同時多発テロを「政府の内部犯行」と主張する陰謀論者として知られ、反イスラム的投稿でTwitter(現X)を一時追放された過去を持つ。アカウントはイーロン・マスク氏の買収後に復活したが、昨年の大統領選では、インド系のカマラ・ハリス氏に対し、同氏が勝利すれば「ホワイトハウスがカレー臭くなる」と発言するなど、差別的言動も見られた。これに対して、インド系の妻を持つJ・D・ヴァンス現副大統領が「そういった発言は好きじゃない」「私たちは政策と課題に集中すべきだ」と苦言を呈したことも話題を集めた。

話を戻すが、そもそも元FBI長官が“貝殻”で暗殺を呼びかけるなど、あり得るのか―そうした疑問も拭えない中で、いくらトランプに近いとはいえ彼女の投稿をそのまま受け止める前に、筆者はまず現地米国人の反応を探ることにした。

1千件近く「いいね」がついた異論

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新著の出版イベントに出席するジェームズ・コミー氏

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