仙台市議選で見えた、自民党への根強い不信感|和田政宗

仙台市議選で見えた、自民党への根強い不信感|和田政宗

今回の仙台市議選において自民党は5つの選挙区で、現職の公認候補3人が落選した。私が選挙戦を通して感じたのは、岸田内閣の政策への厳しい評価である。“サラリーマン増税”について岸田総理は否定したものの、「岸田政権では増税が続く」と考えている方がとても多かった。


自民党には何が必要なのか

Getty logo

参政党は5選挙区のうち4選挙区で1人ずつ候補を擁立した。議席獲得は困難だとみられていたが、宮城野区で1議席を獲得した。参政党は、選挙前から街頭において認知を広げる活動に力を入れていた。仙台においても参政党にはコアな支援者がおり、その運動量は活発であった。

当選しなかったその他の区でも2500票以上を獲得しており、この得票の中には前回自民党へ投票した方の票が相当数含まれる。自民党の政策に失望したり、自民党の政策より参政党の政策が魅力的だと感じた方々が、参政党へ投票している。

れいわ新選組は、太白区において候補を1人擁立したが、当選圏からは離れた得票であった。しかし、候補者は、令和元(2019)年の参院選で仙台駅前での山本太郎代表の街頭演説を見て、れいわ新選組の活動を開始しており、地方においても支持を徐々に広げていると言える。

主要各政党は、公明党が現職9人全員当選で議席数を維持。立憲民主党は12議席から11議席へと1議席減らした。国民民主党は、推薦候補2人のうち1人が落選した。共産党は6議席で変わらなかった。

このように今回の仙台市議選の結果を見てみると、自民党は国民の失望を一刻も早く転換させ、離れてしまった信頼を取り戻さなくてはならない。ひとえにそこにかかっていると考えるが、立憲民主党よりも日本維新の会への期待が高く、実際の投票行動にもつながっていることも直視しなくてはならない。参政党も国民への浸透度を高めている。

自民党には何が必要なのか。

安倍政権、菅政権で、第3極や新興勢力への支持が広がらなかったのは、政権自らが改革を次々に実現し、雇用も安定させ経済を再生させ所得向上の道筋を作っていくという、まさに今、維新や参政党が訴えている政策を政権として実現していたからである。

自民党は今一度、安倍政権、菅政権の精神と政策に立ち戻り、真に国民のための政策を打ち出すべきである。これ以上、追い込まれてからでは完全に遅い。速やかに国民の信頼を取り戻す政策を打ち出すべきだ。

月刊『Hanada』2023年9月号

日本国憲法「改定」

関連する投稿


「パンダ」はいらない!|和田政宗

「パンダ」はいらない!|和田政宗

中国は科学的根拠に基づかず宮城県産水産物の輸入禁止を続け、尖閣への領海侵入を繰り返し、ブイをEEZ内に設置するなど、覇権的行動を続けている。そんななか、公明党の山口那津男代表が、中国にパンダの貸与を求めた――。(写真提供/時事)


なぜ今なのかが不可解な旧統一協会解散請求|西岡力

なぜ今なのかが不可解な旧統一協会解散請求|西岡力

これは宗教団体に対する「人民裁判」ではないか。キリスト教、仏教、神道などのリーダーを含む宗教法人審議会が解散命令請求に全会一致で賛成したことに戦慄を覚えた。


日米に対して、中国「ゼロ回答」の背景|和田政宗

日米に対して、中国「ゼロ回答」の背景|和田政宗

日中首脳会談が約1年ぶりに開催された。岸田総理は日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置されたブイの即時撤去等を求めたが、中国は「ゼロ回答」であった。聞く耳を持たない中国とどう向き合っていけばいいのか。(サムネイルは首相官邸HPより)


今こそ、旧宮家の男系男子の皇籍復帰を!|和田政宗

今こそ、旧宮家の男系男子の皇籍復帰を!|和田政宗

皇室は我が国の根幹であり、我が国の歴史そのものである。日本共産党の志位委員長はかつて、「多様な性を持つ人びとが天皇になることも認められるべきだ」と述べたが、これは皇統の破壊である。こうした論を無意味にするために今やるべきこととはなにか。


獄中からの叫び「なぜ世界は我々を無視するのか」|石井英俊

獄中からの叫び「なぜ世界は我々を無視するのか」|石井英俊

アメリカ・ニューヨークに本部を置く南モンゴル人権情報センターに送られた一通の手紙。ある刑務所に面会に訪れた「囚人」の家族と弁護士に手渡されたものだった。そこに綴られていた悲痛な叫びとは。


最新の投稿


混迷する中東情勢を読み解く!|和田政宗

混迷する中東情勢を読み解く!|和田政宗

中東情勢が混迷を深めている。我が国も国民も「遠い中東のこと」と高をくくってはならない。実際すでに日本も巻き込まれ、被害を受けている――。


【今週のサンモニ】反原発・反核原理主義を大爆発!|藤原かずえ

【今週のサンモニ】反原発・反核原理主義を大爆発!|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。今週は原発や核兵器をめぐって、反原発・反核原理主義を大爆発させておりました。


日本防衛の要「宮古島駐屯地」の奇跡|小笠原理恵

日本防衛の要「宮古島駐屯地」の奇跡|小笠原理恵

「自衛官は泣いている」と題して、「官舎もボロボロ」(23年2月号)、「ざんねんな自衛隊〝めし〟事情」(23年3月号)、「戦闘服もボロボロ」(23年4月号)……など月刊『Hanada』に寄稿し話題を呼んだが、今回は、自衛隊の待遇改善のお手本となるケースをレポートする。


なべやかん遺産|エクシストコレクション

なべやかん遺産|エクシストコレクション

芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「エクシストコレクション」!


川勝知事のヤバすぎる「不適切発言」が止まらない!|小林一哉

川勝知事のヤバすぎる「不適切発言」が止まらない!|小林一哉

議会にかけることもなく、「三島を拠点に東アジア文化都市の発展的継承センターのようなものを置きたい」と発言。まだ決まってもいない頭の中のアイデアを「詰めの段階」として、堂々と外部に話す川勝知事の「不適切発言」はこれだけではない!