十分ではない衆院内閣委員会での質疑
特命委員会の役員は「懸念点は国会で十分な審議をし、払拭する」と党内の会議で我々に述べていたが、衆院内閣委員会での質疑は、10分×8会派で1時間20分、修正案についても約40分の計2時間しか審議していない。これのどこが十分な審議なのかという意見が党員や支持者から多く寄せられている。
今回の修正においては、条文に「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする」との文言が入ったので、女性のスペースなどは守られるようになったと述べる方もいるが、具体的には担保されていない。
「女性もマイノリティであり権利を守ってほしい」との主張に、私はしっかりと耳を傾けて施策を講じなくてはならないと考えており、今回の法案ではそれをどのように担保できるか、いまだに不明である。
また、今回の法案では、学校において、性的指向及びジェンダーアイデンティティについて児童等への教育に努めるということになっている。こうした内容が法案に盛り込まれていることについて、国民はどれくらい知っているのだろうか。内容を知った方々からは懸念の声が私のもとに寄せられている。
なお、米国・フロリダ州においては、公立学校で性自認や性的指向などについて議論することを禁じる法律が昨年成立し、当初の対象年齢は小学3年生までであったが、今年になって高校生まで拡大された。どの年齢からどこまで教えるのか、そもそも学校教育で教えるのかが米国などで議論になっているなか、このような内容が国民にほとんど知らされないまま盛り込まれ、実施されるということで果たして良いのだろうか。
維新の議員は法案に絡め同性婚の推進を主張
昨日の維新などとの修正案の共同提出では、自民党は虎の尾を踏んでしまったことに修正協議を進めた方たちは気付いているのだろうか。
昨日の衆院内閣委員会の審議では、維新の議員は法案に絡め同性婚の推進を主張した。自民党内には同性婚について反対の声が多く、党内のコンセンサスも全く取れていない。「LGBT理解増進法」を推進する特命委員会の役員も「法案と同性婚の話は全く別で、この法案が成立したから同性婚が進むわけではない」と説明してきた。
しかし、今回の修正案は自民や維新などの共同提出であり、維新は強力に同性婚を推進しており、自民党も同性婚に賛成したとの話にならないだろうか。
このような懸念や課題山積の法案である。党執行部はこのままこの法案を進めるのだろうか。先週の自民党の代議士会では中村裕之衆院議員が、法案への反対の声が多いなか進めた党内手続きの問題を指摘した上で、「内心に関わる問題であり、党議拘束はかけないでほしい」と述べた。
過去、臓器移植法案などにおいて自民党が党議拘束を外した例があるが、執行部はどのように判断するか。法案反対の声は多くの自民党員や支持者から寄せられているし、法案に賛成できないとの考えを持つ議員は何人もいる。私も信念をもって行動したい。