これまでのルールに反しないのか
「LGBT理解増進法」をめぐり我が党が迷走している。昨日9日、自民党は突如、維新・国民案を取り入れる法案修正をし、衆院内閣委員会で採決を行った。賛成多数で法案は可決し、来週以降、衆院本会議で採決される見込みだ。
この修正について、『維新の国会対策委員長のもとには、自民の保守派から「ありがとうございます」とお礼の電話が相次いだという』(6月10日朝日新聞)と、保守派も賛同しているかのような報道があるが、立憲・共産案に近づく修正にもなっており、法案に対する考え方は修正されても変わらないという衆参の同僚議員たちの意志は固い。こうした議員たちと現在、断続的に協議している。
今回の修正において重大な点は、自民党案の「性同一性」が「ジェンダーアイデンティティ」となったことである。自民党の会議において、法案推進派である「性的マイノリティに関する特命委員会」の役員は、一昨年の超党派議連案の「性自認」を「性同一性」にするので、「性自認」の定義などから生まれる様々な懸念は払拭できると主張した。
しかし、今回の修正の「ジェンダーアイデンティティ」の言葉の意味には、「性自認」も含まれ、自民党内での説明と完全に異なる内容の修正を行ったことになる。この場合ルール上、自民党内に持ち帰り、もう一度党内で議論するはずなのだが、今回それもなされていない。
そもそもこの法案の党内手続きは、反対者が多いなかで「部会長一任」と一方的に主張して進めた前代未聞のことであるが、党内での説明と違う大幅な修正を行っても党内手続きにかけないということはこれまでのルールに反しないのか。
そして、そもそも維新・国民案は、自民党内で強引に「部会長一任」を取り付けようとした会議の前に、自民党の保守系議員や特命委員会の役員のもとに届いていた案が原案となっている。これはある学者の方が提案したもので、自民党の会議で複数の議員がその提案に沿った修正を主張したが、その際に特命委員会の役員は「一字一句修正しない」と突っぱねている。
それなのに同様の修正を今回、維新・国民側としたということは、自民党所属議員の意見を否定したこととの整合性はどうなのか。我が党議員は自民党の支持者からの投票で選ばれており、自民党支持者の意見を無視したことにならないなのか。
自民党の部会で猛抗議する和田政宗議員(左)
(画像は高鳥修一議員Twitterより)