川勝知事の“錯乱”ぶりがヤバすぎる!|小林一哉

川勝知事の“錯乱”ぶりがヤバすぎる!|小林一哉

2022年8月に『知事失格』が出版され、「命の水」の嘘が明らかになってから、川勝平太静岡県知事のリニア妨害はなりふり構わなくなってきている。 地元記者が、そのヤバすぎる錯乱ぶりを徹底レポート!


破綻している川勝知事の主張

しかし、大人の対応でその場を収めても、川勝知事のいちゃもんは止まりません。
 
12月に入ると、今度、川勝知事は、山梨のトンネル掘削工事のために先立って行うボーリング調査まで問題にし始めました。
 
川勝知事は、「水抜きがあり得る高速長尺先進ボーリングが静岡県の地下水圏に近づくことは同意できない」という意見書をJR東海に送付。静岡新聞のインタビューに対しても、「(ボーリング調査は)調査の名を借りた水抜き工事だ」 「強引にするのはおかしい。JR東海の(世間に対する)信頼が厳しくなる」と口を極めて批判。

もし、山梨県内でボーリング調査を行えば「湧水の全量戻し」は“実質破綻”する、とJR東海を恫喝しました。

「ボーリング調査は水抜きだ」と言われると、静岡県民は「静岡県の水が抜かれてしまう」と勘違いするかもしれませんが(川勝知事はそういったミスリードが実にうまいのです)、トンネル掘削に比べればはるかに微量であり、そもそも山梨県内で水抜きすることには何の問題もありません。川勝知事は、山梨県内の地下水の所有権は静岡県にあるとでも言うつもりでしょうか。

「湧水の全量戻し」が“実質破綻”すると川勝知事は言いますが、そもそも「湧水の全量戻し」の定義は、「静岡県内のリニア工事で発生するトンネル湧水全量を恒久的に大井川に流すこと」。

つまり、山梨県内のボーリング調査や工事で発生するトンネル湧水は「全量戻し」とは無関係なのです。川勝知事の「全量戻し」の主張こそ、“破綻”しています。
 
金子慎社長も定例記者会見で、「大井川の水資源利用に影響を与える可能性は極めて小さいと考えている」 「湧水は少し発生するかもしれないが、だから調査をやめていいのかというのが私たちの考えだ」と川勝知事を牽制しました。

意見書の重大な誤り

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今年に入って、もっとも話題になった川勝知事のリニア妨害は、岸田総理への意見書でしょう。
 
発端は1月4日、岸田総理がリニア開業後に静岡県に停車する東海道新幹線の本数について、今年の夏をめどに調査結果をまとめる方針を示したことでした。
 
この見え見えの懐柔策に、会見でいつもの「川勝劇場(激情)」が炸裂。

「今頃それを言って静岡県民を喜ばせようというレベルの低さ、これはどなたでしょうか。(国交省の)鉄道局長なのか、鉄道局長を務めた担当審議官なのか、この担当がいかにレベルの低い議論を大臣や、ましてや総理にまでさせているか、私は慨嘆している。反省しなさい」(1月5日)
 
そして1月24日、岸田総理の事務所に意見書を送付。意見書には「品川―名古屋間」までの部分開業、大阪までの全線開業のそれぞれの段階で、県内に停車する1時間あたりの「ひかり」と「こだま」の本数や、「のぞみ」からリニアへと乗り換える乗客の割合などのデータを示すよう求めました。
 
1月24日の会見で、川勝知事はこう語ります。

「私の今回の質問の大きなポイントは、東京(品川)―名古屋間。これについてのシミュレーション」

「2027年に開業できたとして、その後、大阪まで開業するのに目下の計画ではさらに10年かかる。単純に計算すれば、14~15年は品川から名古屋しかないわけです。この時にどうなっているかということは、いまここで生活している人たちにとっては、やっぱり知りたいことじゃないでしょうか」
 
要するに、川勝知事としては、停車駅がない静岡にとって、リニアのメリットなどないと強調、議論をひっかき回し、パフォーマンスに利用したかったのでしょう。

2027年の部分開業について云々といったって、早期に開業したほうがいいに決まっています。
 
この岸田総理への意見書、静岡県のウェブサイトに公開されているのですが、見過ごすことができない重大な誤りがありました。

「JR東海の長期債務残高『6兆円』問題」という見出しで、こう書かれていたのです。

〈JR東海は、(2010年の)中央新幹線小委員会で「長期債務残高を『5兆円以内』とすることが適切かつ必要」(中略)しかし、現在のJR東海の長期債務残高は健全経営の限度「5兆円以内」を優に超えている。国に提出した事業計画とは明らかに異なる事態で、政府による検証が必要である〉
 
つまり、現在のJR東海の経営が危機的であると糾弾しているのです。

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