川勝知事の“錯乱”ぶりがヤバすぎる!|小林一哉

川勝知事の“錯乱”ぶりがヤバすぎる!|小林一哉

2022年8月に『知事失格』が出版され、「命の水」の嘘が明らかになってから、川勝平太静岡県知事のリニア妨害はなりふり構わなくなってきている。 地元記者が、そのヤバすぎる錯乱ぶりを徹底レポート!


山梨県工事の中止を要請

神奈川県内の用地取得などが遅れていることをJR東海に公表させて、2027年開業が無理なのは静岡県の責任ではないことを世間に印象付けたかったのでしょう。

しかし、工事が遅れている最大の要因は川勝知事の妨害であり、とんでもない詭弁です。
 
神奈川県の黒岩祐治知事は、静かな怒気を込めながら、こうコメントしました。

「川勝知事がどういう根拠でそのように発言されたのかよく分かりません。建設予定地にある家の8割が契約済み。2027年(開業)ということから考えれば着実に進んでいる。(JRの)金子社長にも話をしたところ、『スケジュールどおりいっている』という話なので、我々としてはそういうメッセージをお伝えしたい」
 
翌10月26日、関東地方知事会の定例会前に、川勝知事と黒岩知事はリニア工事の一件について立ち話をし、わだかまりは解消したということですが、政治は「大人の対応」の世界。実際のところはどうかわかりません。
 
川勝知事は、隣県である山梨県にもいちゃもんをつけ始めました。
 
10月13日、山梨側になんの相談もなく、山梨県内のトンネル掘削工事をストップするようJR東海に要請したのです。川勝知事がJR東海に送った文書では、山梨県内のトンネル掘削で、距離的に離れていても高圧の力が掛かり、静岡県内にある地下水が山梨側に引っ張られ、静岡県内の湧水に影響する可能性を示唆。それを回避するために、静岡県境へ向けた山梨県内の工事をどの場所で止めるのかを決めろという。
 
ほとんど言いがかりで、理論上、トンネル掘削をすることで高圧の力が掛かり、地下水を引っ張ることはあるにはありますが、断層帯がない限り極めて微量。現在のような締め固まった地質ではそのような現象は起こらない可能性も高い、というのが専門家の見方です。
 
JR東海は、川勝知事の要請に困惑。頭越しに工事中止を要請された山梨県の長崎知事は、こう怒りをあらわにしました。

「静岡県がJR東海にそういう申し入れをしたのだとすると、中身の是非を別として、行政のやり方として、私はもう少し山梨県に対して礼を尽くすべきじゃないのかなと思います」
 
長崎知事が怒るのももっともです。そもそも、山梨県の工事を止める権限も権利も川勝知事にはないのですから。

山梨県の「大人の事情」

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この件に関し、川勝知事の記者会見では厳しい質問が飛びましたが、まったく反省の色はありません。

〈川勝 長崎知事は怒ってないと思います。もう我々とは、1回、2回の付き合いではなくて、(中略)信頼関係は盤石です。

――行政の進め方として、山梨県がかかわる部分に対して、山梨県の頭越しにこういうことをやってしまったからこそ、長崎知事はお怒りになっているわけで、なんでそのような根回しができないんですか。

川勝 根回しをするほどのことでもないと私は思っております。長崎知事は、この件についてはもうすでに十分にわかっていらっしゃると思います。

――わかっていないからこそ、この間の長崎知事の定例(会見)でお怒りだったんじゃないでしょうか。

川勝 初めてそのことを知ったときの最初のリアクションだったんじゃないですか?〉
 
この記者会見の翌日、川勝知事が関東地方知事会議で長崎知事に直接、“あいさつ”したことで、長崎知事は

「(軋轢は)完全解消した」とコメントしていますが、山梨県内の工事ストップを了解したわけではありません。
 
長崎知事が、一応、今回の件を水に流したのは、大人の事情もあるように思います。
 
ご存じのように、静岡と山梨は隣り合っていますが、人口は山梨が80万人、静岡が360万で経済規模にかなり差があります。

観光キャンペーンなど、静岡と山梨で一緒になにかやろうとすれば、山梨は静岡に頼る部分が少なくありません。
 
たとえば、いま静岡と山梨は新型コロナの感染拡大で影響を受けている農畜水産物を互いに購入しあって相互に助け合う「バイ・ふじのくに」というキャンペーンを行っています。

静岡県内で山梨県物産市をやれば大勢のお客さんが買ってくれますから、山梨にとって静岡との連携は経済的なメリットが大きいのです。
 
長崎知事も頭のいい人だから、「メンツ」よりも「実利」を取ったのでしょう。

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