川勝知事の“錯乱”ぶりがヤバすぎる!|小林一哉

川勝知事の“錯乱”ぶりがヤバすぎる!|小林一哉

2022年8月に『知事失格』が出版され、「命の水」の嘘が明らかになってから、川勝平太静岡県知事のリニア妨害はなりふり構わなくなってきている。 地元記者が、そのヤバすぎる錯乱ぶりを徹底レポート!


JR東海は川勝知事を訴えろ!

しかし、これは全くの嘘です。公開されているJR東海の財務諸表を調べてみると、長期債務残高は「4・94兆円」。そのうち、「3兆円」は元本返済30年猶予、超低金利の財政投融資の債務で、コロナ禍にもかかわらず、かなりの健全経営です。
 
川勝知事は意見書を送る前から、

「6兆円になる債務、長期債務残高ではやっていけない。ところが、(現在)6兆円になっています」
「借金が6兆円ありますからね。長期債務残高が。そういうなかでどうやっていくのか」
 
と、「JR東海の長期債務残高は六兆円」を連発していました。

意見書を作成していた事務方は川勝発言を鵜みにしたのでしょう。実際、担当部署に「『5兆円以内』を優に超えている」の内訳を教えてほしいと何度も問い合わせましたが、誰ひとり答えられなかった。
 
川勝知事は、早稲田の大学院で経済学を専攻した経済学者のはずですが、「62万人の命の水」といい、「JR東海の長期債務残高は6兆円」といい、数字の間違いが多い。本当に経済学者かと疑いたくなります。
 
私が間違いを指摘して、意見書は修正されましたが(岸田総理の事務所にも“こっそり”修正版が届けられました)、それにしても今回のはひどい。県知事が一企業を名指しして、「経営の危機に瀕している」とマスコミで語り、県のウェブサイトにも掲載したのです。
 
JR東海を本当に経営の危機に陥れる重大な過ちにもかかわらず、川勝知事は現時点で、今回の“風評加害”について謝罪していません。
 
JR東海は、リニア妨害のことも含めて、業務妨害で川勝知事を訴えたらどうか。
 
私が危惧しているのは、川勝知事のリニア妨害によって、政府と静岡県の関係が悪化、静岡県が“制裁”を受けることです。
 
今年のG7サミットは開催国が日本で、1年を通して関係閣僚会合が全国で行われます。閣僚会合が開かれると、地元は盛り上がりますし、さまざまな経済的メリットがある。
 
静岡は東京からのアクセスもいいし、富士山もよく見えますから、会合するのには絶好の場所。選ばれてもよさそうなものなのに、今回、選ばれませんでした。私には、リニア妨害を続ける川勝知事に対する「制裁」のように見えます。
 
もし制裁だったとすると、川勝知事のリニア妨害によって、静岡県民全体が割を食っていることになる。今後、そういった「目に見えぬ制裁」が増えてくるかもしれません。
 
川勝知事は静岡放送「LIVEしずおか」の2023年1月6日放送の新春知事対談に出演し、JR東海の社長が県庁へ来た際のことをこう言いました。
「静岡県を悪者にするという最後の花道をつくるつもりかと思った。2027年の開業を邪魔しているのは、すべて静岡県だと」
 
JR東海をスケープゴートにしようとしたのかもしれませんが、静岡県を悪者にしているのは、紛れもない川勝知事自身です。
 
リニアは、一企業の事業ではなく、国家プロジェクト。『知事失格』のなかでも書きましたが、南海トラフ地震、首都直下型地震が来たら、現在の東海道新幹線はひとたまりもありません。その時に首都圏、関西圏を結ぶ基幹インフラとして、中央新幹線が重大な役割を担います。一知事が妨害していい話ではないのです。
 
川勝知事は口がうまく、多くの静岡県民、いや国民をミスリードしています。
 
一人でも多くの人に『知事失格』を読んでいただき、「川勝劇場」終幕の「花道」をつくりましょう。

(初出:月刊『Hanada』2023年4月号)

小林一哉(こばやし・かずや)

https://hanada-plus.jp/articles/886

「静岡経済新聞」編集長。1954年静岡県生まれ。1978年早稲田大学政治経済学部卒業後、静岡新聞社入社。政治部、文化部記者などを経て、2008年退社。現在、久能山東照宮博物館副館長、雑誌『静岡人』編集長。著作に『静岡県で大往生しよう』(静岡新聞社)、『家康、真骨頂、狸おやじのすすめ』(平凡社)などがある。

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