高市早苗大臣と岸信夫補佐官
そんななか、あまり報道されていないのですが、2つの喜ばしいことがありました。
高市早苗経済安全保障担当大臣がドルクン・エイサ総裁と初会談したのです。世界ウイグル会議総裁が日本の閣僚と面会するのは今回が初めて、歴史的瞬間でした。高市大臣の勇気、段取りをして下さった有本香さんには、心から感謝と敬意を表します。
この際、ドルクン総裁からは、重大な人権侵害に対し制裁を科す人権侵害制裁法の制定や、企業によるウイグル人の強制労働防止に向けた法整備を整えてほしいという話がありました。これに対し、高市大臣は「関係閣僚と積極的に取り組みたい」と応じたのです。
東京都は新築戸建て住宅等へ太陽光パネル設置義務化を決めましたが、ウイグルの強制労働による製造が疑われる中国製太陽光パネルが使用されれば、日本がジェノサイドに加担することになりかねません。人権侵害のうえに経済は成り立ってはいけない、まさに経済安全保障における人権デューデリジェンスに大きくかかわること。その担当大臣との面談が実現したのです。
他にも、岸信夫首相補佐官との面談も実現しました。これがほとんど報道されないのも実に不思議です。
さて、どなたかお忘れではないでしょうか。
岸田政権肝煎りで就任した中谷元国際人権問題担当首相補佐官です。
「官邸は民族団体とは絶対に会わない、それが方針である」
これがいまも貫かれたままです。
2021年12月24日、私は各民族団体の提言書を携え、官邸の中谷補佐官を訪ねました。その際、「制裁法を作るためには、人権侵害を政府として事実認定する必要があるので、政府の立場で民族団体を官邸に招き、ヒアリングを早々に行ってほしい」と申しあげました。
中谷補佐官ははっきりと「わかりました」とおっしゃるものの、私の言っていることがわかったのか、それとも承知したという意味のわかったなのか、不明確でした。
中谷補佐官が私に強調したのは、マグニツキー法成立に向けての気持ちはいささかも変わっていないこと、必ず検討すること、とにかく一所懸命やっているというものでした。
あれから1年以上が経過しました。法律を作るのならば、日本政府は事実認定に至るために、どのような情報収集をしてきたのでしょうか。民族団体からの「命の証言」を、政府としてヒアリングをまだ一度もしていない、これが現状です。