【橋下徹研究②】上海電力「ステルス参入」の怪|山口敬之【永田町インサイド WEB第2回】

【橋下徹研究②】上海電力「ステルス参入」の怪|山口敬之【永田町インサイド WEB第2回】

日本にはメガソーラーの設置・運営が出来る会社がたくさんあるのに、大阪府はなぜあえて咲洲のメガソーラーを中国の実質的国益企業に運営させているのだろうか。ウクライナへの「降伏論」の背景に、中国ビジネスがあるとすれば、「トンデモ発言」ではすまされない――。


すべての事象が橋下時代に起きている

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橋下徹氏は大阪府知事と大阪市長を以下の期間務めた。

・知事 2008年2月6日~2011年10月31日

・市長 2011年12月19日~2015年12月18日

そして市長時代の府知事は盟友の松井一郎現大阪市長。橋下徹氏は実質7年半にわたって大阪府の行政と政策を牛耳ってきた。

橋下氏は知事として市長として、上海市との関係強化に取り組んできた。例えば上海で万博が実施されていた2010年7月、大阪府と大阪市は共同でこんなプレスリリースを出している。
「大阪府と大阪市は7月28日を『なにわの日』として、「大阪-上海友好盆踊り大会」を目玉イベントとする『大阪のスペシャルデー』を上海万博会場で開催すると発表した」

橋下氏は、この時期上海に滞在して、上海国際会議センターで開かれた『大阪-上海友好交流の夕べ』など複数のイベントに出席する傍らで、上海市当局の幹部と会合を重ねた。

さらに大阪府所有の帆船「あこがれ」に大阪府民と上海市民を総勢500人を乗せた記念航海も発表している。
「大阪府と上海市は1980年に友好都市提携し、今年で30周年という節目の年になる。大阪市も1974年に上海市と友好都市として提携した」

この2年後、咲洲のメガソーラー事業が本格的にスタートした。そして当初は日本企業による事業を標榜していた。ところが1年半後、事業主体がいつの間にか「上海電力」という中国の準国営企業にすり替わっていた。

事業主体の変更について大阪府の過去の報道発表を探してみたが、該当するものは見つからなかった。府民の生活に直結する発電事業を中国企業に任せるのであれば、その意図や安全性の担保などについて、府としての見解を発表するべきだったのではないだろうか。

はっきりしているのは、メガソーラービジネスの中国企業への売り渡しの決定から実施に至る、すべてのプロセスが橋下氏と大阪維新の会が大阪府政を牛耳っていた時期に行われたという事実である。

「降伏論」と中国ビジネス

ウクライナ戦争に関連して橋下氏は「外国が攻めてきたら降伏すべきだ」と繰り返し発言した。

台湾・尖閣を自国の領土だと主張する中国と中国共産党は、あらゆる手段を使っていずれ台湾・尖閣を取りに来るだろう。

ロシア軍の侵攻はウクライナ人の必死の抵抗で当初の見込みよりも停滞し膠着状態に陥っている。習近平が台湾と尖閣を侵略する場合にも、最大の阻害要因となるのが日本人の抵抗だ。

そんな時、日本の著名人が「侵略されたら抵抗せず、逃げるか降伏するべきだ」と言ってくれたら、侵略する側にとっては極めて「ありがたい」発言に違いない。

大阪府の巨大メガソーラー事業が中国政府と中国共産党が管理する中国の会社に売り飛ばされたという事実。

そして交渉から契約までの最も重要な期間、橋下徹氏が大阪府政を知事として牛耳っていたという事実。

こうした経緯を検証すればするほど、
「橋下徹氏の『降伏論」』と大阪府の中国ビジネスは無関係だ」という言い訳は成り立たないように思えてくる。

橋下氏がもし、中国企業の経営者と、その奥にいる中国共産党幹部が喜ぶような発言を意図的に繰り返しているのであれば、それはもはや単なるトンデモ発言ではない。特定の意図を持って国民を誘導しようという「特異な」発信という事になる。

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