英国議会で暗躍する「中国工作員」を実名告発!|クライブ・ハミルトン/マレイケ・オールバーグ

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1月14日、BBCは「英情報局保安部(MI5)は13日、中国の工作員とみられる人物が献金を通じてイギリスの議会に食い込み、政治に介入しているとする、異例の警告を発した」と報道。ロンドンの中国大使館は「私たちはいかなる外国議会においても『影響力を買う』必要はないし、その努力をすることもない。イギリス内の中国人コミュニティーに対する中傷と威嚇のたくらみに強く抗議する」とMI5を非難。中国が否定することは目に見えていたが、実際、中国の「魔の手」はどこまで伸びているのか。日・米・欧での「浸透工作」の全体像を初解明した『見えない手』より、英国での「浸透工作」の一部を特別公開!


中国共産党の公式メディアからも称賛

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バリー・ガーディナーはブレア政権で大臣を務めた

クリスティン・リーのブログでは、中国共産党の華人参政プログラムについて説明し、中国系イギリス人が影響力をもつやり方についてアドバイスをしている。

また「イギリス華僑プロジェクト」は、元保守党議員のエドモンド・ヨー(マレーシア出身)、英国華人工党(Chinese for Labor:華僑による英労働党の支援団体)の委員長であるソニー・レオン、華人自由民主党(the Chinese Liberal Democratic Party:華僑による英自由民主党の支援団体)の共同委員長であるマーリーン・エマーソンとともに活動していると書いている。

リーの仕事は中国共産党の公式メディアからも称賛されており、2011年にはチャイナ・デイリー(中国日報)紙が、イギリスにおける中国人の権利向上のために彼女が多大な努力をしたと報じた。

リーは中国を訪問する代表団のために多くのイベントを企画し、習近平をはじめとする北京のトップリーダーたちと会談してきた。キャメロン政権時代には同首相と良好な関係を築いていたようだ。

2012年には、史上最大規模の華人参政団を率いて北京を訪問している。彼女はソニー・レオンと自由民主党の議長を伴って訪中し、当時の僑務弁公室の副室長だった譚天星(タン・ティエンシン)に迎えられた。

リーとソニー・レオンは、2016年にも譚天星と会談しており、そのときは自由民主党イギリス華人会の副代表を連れてきていた。譚天星はその際に、中国系イギリス人たちに政治面でも主流派のほうに参加するよう促している。その翌年、リー、レオン、そしてイギリスの華人参政推進派の一行は再び北京に戻って、また譚天星と話し合っている。

2015年、リーは再び華人参政工作の件で称賛された。今回は人民日報が「中国人の投票を戸別訪問で奨励し、選挙の知識を普及させ、中国人が投票カードに記入するのを手助けした」と報じた。

2016年には、僑務の公式サイトがリーの仕事について「中国人は自分の運命をコントロールしなければならない」と述べた。2019年1月31日、クリスティン・リーは「イギリス華僑プロジェクト」の貢献が認められ、メイ首相から「ポインツ・オブ・ライト賞」を受賞した。

首相官邸の前に立つリーの写真の横には、英中関係の「黄金時代」を告げる、新年を記念した漢字の書かれた赤い垂れ幕で飾られた入り口のドアが写っている。それが示す象徴的な姿は、露骨で力強いものだ。リーは、イギリス政府のまさに中枢に行って称賛された。(中略)

クリスティン・リーはイギリスのトップエリートたちに近づくことに成功し「中国の視点」を広めることができるようになったのだ。

(『見えない手』より抜粋)

『見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか』

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