韓国語版『「目に見えぬ侵略」「見えない手」副読本』
中華人民共和国(以下、中国と表記)湖北省武漢市で発生したコロナウイルスが世界をパンデミックの衝撃の中に押し込め、国際的戦略地形が変化している。本文を書いている現在も今後事態が鎮静するまで一~二年かかるのか否、五年掛かるのか予測が難しい状況である。だが昨年一年余の間、パンデミックを経験し我々は中国共産党(Chinese Communist Party :CCP)(以下、中共)と表記。の本質と行動について大変重要な洞察を得た。
我々が脅威を感じれば中国は逆に過敏に反応し、批判を鎮めるためなら躊躇(ためら)わず脅迫に出る事を知った。特に、コロナウイルスのみならず自国の利益に関わる全ての世界的な叙事を統制しようとする北京の意志を、より確実に悟る事となった。中共は国際秩序を変えて世界を自らの思いのままにすると決定した。本書で説明するが、中共は今、高度な体系を用い他国に向けた影響力を広めている。支持者を包摂し批判する者たちの口には轡(くつわ)をはめ、機関を転覆する方法を用いる。目標は中共に対する反発を弱体化させる事だ。
周知の如く、中共指導部は偏執症的だ。中国の四方に潜む「敵対勢力」に向け、果てしない理念闘争を展開するより他ないと信じている。西欧の軍事大国は歴史が―時には戦争で途切れる事もあるが―長い平和の物語で成り立っていると理解する。しかし、中共が統治する中国は自ら永遠に終わらない戦争を繰り広げていると考える。大部分は政治的であれ、理念的であれ、政治と理念が混合した形態の戦争だが、これは動的戦争、言い換えれば銃を用いたり、ミサイルを発射したりする戦争を避けるための「別の手段による戦争」であるだけだ。
北京が国際的に最も注力し推進する戦略目標は対米同盟解体であり、北京がインド太平洋地域で狙う主要国家が豪州と日本、韓国だ。北京は韓国と米国の関係を引き離すため多様な手段を動員している。韓米同盟を弱化させない限り韓国を支配出来ないという事実を知っている。北京が使用する主要武器は交易と投資である。北京は「経済策略」正確に言えば「経済脅迫」の名手である。中国に対する経済的依存を利用し、他国の政治的譲歩を引き出す。