【読書亡羊】「もどかしい系議員」と呼びたい 小川淳也・中原一歩『本当に君は総理大臣になれないのか』(講談社現代新書)

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その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする週末書評!


普通の人生、普通の暮らし、そこが最も尊く愛しく、その暮らしこそが大切にされる世の中であるべきで……。

そして「今の政治にはそうした観点が欠けている」という話になる。小川議員の涙は美しい。だが、このくだりを読んで思い出したのは、先に総理の任を解かれた菅義偉前総理の、官房長官時代の言葉だった。

みなさんにとって重要な人生の選択の際に、できるかぎりそれぞれの方々の希望がかなえられるように、選択にあたって障害がないような環境や制度を用意していくのが政治の役割だと、私は思います。
(雑誌『プレジデント』連載「菅官房長官の『戦略的人生相談』・第7回)

公平を期すために述べておくと、筆者はこの「人生相談」連載でライターを務めていた。この菅前総理の言葉はある身の上相談に対する回答の一部なのだが、「なんと、そんな思いがおありで?!」と初めて気づかされたのを覚えている。

要するに「政治家として何をすべきか」の信念は、小川議員も菅前総理も、実はそう遠くはない。

本を読み、映画を見れば小川議員を応援したくなる。だからこそもどかしい。

多くの人がたぶんそう思うのだろう。だから映画が作られ、本が出る。

小川議員から見れば権力に執着があるように見える(のかもしれない)人も、その権力を使って実行したいことはあなたと同じ「国民の幸せの実現」だとするならば、小川議員、あなたは「もどかしい系議員」のままでいいのですか、と問いかけたいのだ。

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