陰謀論棚にこの本が!
今回ご紹介する書籍だが、実は某書店では「陰謀論」棚に陳列されていた。装丁を見ていただければお分かりの通り、インパクトのある「陰謀論」の文字から、この棚に置かれたのか。それとも、「この棚をよくチェックしている、陰謀論に騙される人への処方箋」となることを願い、あえて書店員が配置したのだろうか。
できれば後者であってほしい。
というのも、長迫 智子・小谷賢・大澤淳『SNS時代の戦略兵器 陰謀論』(ウェッジ)の「おわりに」には、陰謀論に引き寄せられる人々へのメッセージが込められているからだ。
本書で取り扱った内容に対して、これらを陰謀論呼ばわりするなんてとんでもない、といった反感から本書を手に取ってくださった方はいるだろうか。もしそうした方がいれば、あえて問いかけたい。
日本には思想信条の自由があり、あなたの思想や考えは否定されるものではない。ただ、それが何らかの形を成して公表されれば、科学や学術などの観点から批評、批判を受けることとなるだけで、内心の自由は当然に確保されるべきものだ。
そしてあなたのその思想は、この国や社会、この世界を憂えているからこそのものだということも理解している。あなたから見れば、本書はいわゆる「西側の論理」「ディープ・ステート側の主張」に凝り固まったものに見えるだろう。
しかし、本書の目的はシンプルだ。いわゆる陰謀論とされるものを否定したいのではなく、他国からの干渉や情報操作を防ぎ、我々自身で意思決定ができる環境を取り戻すことだけである
こうした呼びかけがもっとも届いてほしい人にこそ、届かない現状。それを思ってこその、書店での配置だったのかもしれない。