共産党内の実態
私が疑問に思うのは、ここまで同調圧力を警戒する立憲民主党が日本共産党と共闘し政権協議までしようとしていることだ。
共産党こそ同調圧力によって党内を束ね、活動の動力源にしている組織だからだ。
その内部事情は、共産党や小沢一郎、森ゆうこなど野党政治家が関係する詐欺事件を追及したことで共産党から事件の調査をやめるようにさんざん圧力をかけられたあげくに共産党から一方的に除籍された私が身にしみて実感していることである。
長妻氏がいう「組織において、不正まがいの指示がおりてきても、誰も疑問の声を上げることができないという空気の支配」の実体験である(事件の詳細は月刊『Hanada』2020年3月号に「森ゆうこ議員は『除染詐欺』の広告塔」を書いているので読んでいただきたい。https://hanada-plus.jp/articles/336)
私のような経験がない党外の人にも共産党の同調圧力的体質は感じることが多いのではないか。
他者が共産党を形容するときによくつかう「一枚岩」という言葉にそれが表れている。政策でも党内人事でも共産党では「全会一致」で異論なしで決定されている。
それが党外から見れば一枚岩のように見えるのだろうが、組織のなかで異論や反対意見がないということはまずありえない。共産党内でもさまざまな意見がある。
しかし共産党では党中央の意向に反することは声に出して言えない。言えば私のように除籍か除名で党から追放されるだけだ。
多くの党員は「個人は間違えることが多いが、党の決定は間違いを克服している」と思わされている。党の方針に違和感があっても「党が間違うはずがない。自分のほうが間違っているのだ」と考えてしまう。
私の除籍処分を決定した党板橋区地区委員総会では50人ほどの委員全員が「除籍」に賛成し、全会一致で処分が決定した。処分対象者の私は会議に参加しておらず、委員からの質疑もないまま、委員長が提案した除籍に全員が事情も知らずに賛成したのである。究極の「同調圧力」だろう。
だが物言わぬまま賛成した委員たちはそれを「圧力」と自覚していない。「党が決定したことだから、党が正しい」と、私は一方的に「裏切り者」「転落者」のレッテルを貼られてしまった。
私自身も、共産党の専従職員をしていた時、党の先輩や党幹部から「党の上に個人を置いてはならない」とよく言われたものだ。それは個人の利益よりも党の利益を優先しなければならないとい戒めの言葉だった。
党専従者は言うまでもなく党からの給与で生活している。一般の労働者と違うのは給与その他の待遇に不満があっても雇用主側と交渉することは一切できないことだ。労働組合もないし、そもそも「職業革命家」であって労働者ではないとされている。
生活がかかっているから党専従者は党幹部の指令に背くことはできない。逢坂氏がいうような人事権と生活を握られ萎縮した「物言わぬ」社会が共産党内の実態だ。
共産党が他の政党と違う特徴はそうした党専従者が異常に多いということだ。くわしい数字は不明だが、党本部だけでも1000人以上の党専従者が働いている。代々木界隈では一番の大企業だ。それに全国の地方組織で党に雇用されている党専従者が加わる。