日本共産党と志位委員長の「同調圧力」|松崎いたる

日本共産党と志位委員長の「同調圧力」|松崎いたる

「同調圧力が強まれば少数意見や異論が排除され、自由のない全体主主義的な社会に陥ってしまう」と、政府や自民党を批判している立憲民主党の枝野代表!それこそまさに御党が共闘している日本共産党に対して言うべき批判だ。日本共産党を支配する異常な「同調圧力」を元共産党員が告発!


志位氏が故・宮本顕治氏や不破氏に抜擢されて非議員のまま党の書記局長という名目上はナンバー2の要職に就いて間もないころの志位氏の演説はひどかった。不破氏の真似をして「…ではありませんか、みなさん」とやるのだが、聴衆はキョトンとしてほとんど反応しない。会場の気まずさに気づいた側近が拍手しはじめて、ようやくパラパラと拍手がある程度だった。そんな演説でも記事にするときは語尾に「(拍手)」を書き加える……そんな仕事を私はしていた。

不破氏との実力や人気でのギャップは志位氏にとって大きなトラウマになったのではないかと思う。

あるとき雑誌に掲載する志位氏の活動を紹介する写真を編集部で選択し、志位氏に提案したことがあった。提案した写真は一緒に写っている他の人物の表情も含め写真全体の印象が一番良いものを選んだのだが、志位氏は「私の表情が一番良い写真にしてください。不破さんだったらそうしているでしょ」と編集部の提案を聞き入れなかった。結果、志位氏の隣で青年が目をつむってヘン顔で笑っているおかしな写真が雑誌に掲載されてしまった。

いま振り返ると党幹部のわがままに振り回されるばかりだった。その幹部も自分より目上の幹部には逆らえない。幹部たちが私のような末端の党員の意見など聞く耳を持たない、わがままのヒエラルヒーが共産党の体質だと思う。そのヒエラルヒーの中で目上の者に同調していれば、一定の地位は保たれる。

表現の自由、内心の自由を侵害

Getty logo

これは全国の地方党組織でも同じだ。しかも地方組織の人事についても常任幹部会が「承認」するなど介入できるようになっている。

これが選挙で大敗しても幹部の交代がない共産党の体質の根源である。国民の多数の願いよりも、一部の党官僚たちの生活や利権を支える組織を存続・維持することが党の最大の目的になってしまっている。

共産党は組織維持のために同志の間の「同調圧力」を最大限に利用しているといえる。だがそれだけではない。

「同調圧力」とは本来「暗黙のうちに強制すること」なのだが、共産党の場合、規約に明文化されている。同調することが義務なのだ。

「第十七条 全党の行動の統一をはかるために、国際的・全国的な性質の問題については、個々の党組織と党員は、党の全国方針に反する意見を、勝手に発表することをしない」。

これでは世界平和、消費税、福祉制度といった社会の誰もが関心を持っている問題についても、共産党員は党中央の見解以外の意見を自由に述べることが出来ない。表現の自由、内心の自由を侵害する明文による圧力だ。

この第十七条は、インターネットが普及していなかった時代にできた条項だが、いまでは誰もがSNS等で自分の意見を全世界にむけて発表できるようになっている。その矛盾は共産党員たちのツイッター投稿をみるとよくわかる。多くの党員、党議員のツイートは党のホームページからの引用か、志位委員長のツイートの引用だ。

志位委員長が「#五輪やめて命まもれ」のタグをつけて発信すると、他の党員たちがそれに続く。志位委員長に反する意見をツイートすることは十七条違反になってしまうから、志位氏の言うとおりことを繰り返すのが一番安全なのだ。SNS上の志位氏による同調圧力といってよい。

しかも「党の全国方針」は、前述したように党員でさえ、どんな人物なのかわからない常任幹部会員によって密室で決定されている。志位氏がツイッターで発表するような新方針はほとんど志位氏の独断の思いつきだろう。その思いつきに全党が振り回される。結果として、東京五輪が開催された後も、閉会される直前まで党員や党議員がそろって「五輪中止」を叫ぶという珍妙なことが実際におきている。

まさに「判例なき裁判所」

関連する投稿


憲法改正の国会発議はいつでもできる、岸田総理ご決断を!|和田政宗

憲法改正の国会発議はいつでもできる、岸田総理ご決断を!|和田政宗

すでに衆院の憲法審査会では4党1会派の計5会派が、いま行うべき憲法改正の内容について一致している。現在いつでも具体的な条文作業に入れる状況であり、岸田総理が決断すれば一気に進む。


自衛隊員靖国参拝で防衛省内に共産党の内通者|松崎いたる

自衛隊員靖国参拝で防衛省内に共産党の内通者|松崎いたる

自衛隊員の靖国参拝の情報を赤旗と毎日新聞にリークした者を突き止めようとする防衛省と、防衛省内にいる内通者を守ろうとする共産党――事の本質は安全保障に直結する深刻な問題だった。


今こそ、旧宮家の男系男子の皇籍復帰を!|和田政宗

今こそ、旧宮家の男系男子の皇籍復帰を!|和田政宗

皇室は我が国の根幹であり、我が国の歴史そのものである。日本共産党の志位委員長はかつて、「多様な性を持つ人びとが天皇になることも認められるべきだ」と述べたが、これは皇統の破壊である。こうした論を無意味にするために今やるべきこととはなにか。


「汚染魚食べろ」「人が住めない土地」「Fukushima Water」日本共産党の風評加害は組織的に行われていた|松崎いたる

「汚染魚食べろ」「人が住めない土地」「Fukushima Water」日本共産党の風評加害は組織的に行われていた|松崎いたる

日本共産党の度重なる風評加害の源泉は志位委員長による公式発言にあった!共産党が組織的に福島を貶め続ける理由は何か?『日本共産党 暗黒の百年史』の著者、松崎いたる氏による「ここが変だよ共産党」第8弾!


志位委員長が誤魔化す優生思想に染まった日本共産党暗黒の歴史|松崎いたる

志位委員長が誤魔化す優生思想に染まった日本共産党暗黒の歴史|松崎いたる

誤りを一切認めない独善的体質は党史『日本共産党の百年』の編纂でもいかんなく発揮された!志位委員長による歴史の偽造を元党員で『日本共産党 暗黒の百年史』の著者・松崎いたる氏が指弾する。ここが変だよ日本共産党第7弾!


最新の投稿


【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料①】とにかく誰もが困っている「国民健康保険料」|笹井恵里子

突然、月8万円に……払いたくても払えない健康保険料の実態の一部を、ジャーナリスト・笹井恵里子さんの新著『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より、三回に分けて紹介。


【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料②】あまりに重すぎる負担…容赦のない差し押さえも|笹井恵里子

税金の滞納が続いた場合、役所が徴収のために財産を差し押さえる場合がある。だが近年、悪質な差し押さえ行為が相次いでいるという(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

【シリーズ国民健康保険料③】“年収の壁”を見直すと国民保険料はどうなるの…?|笹井恵里子

いまもっぱら話題の「103万円、106万円、130万円の壁」とは何か。そしてそれは国民健康保険料にどう影響するのか(笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!』(中公新書ラクレ)より)。


【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

【今週のサンモニ】重篤な原子力アレルギー|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心  キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

【読書亡羊】激震の朝鮮半島に学ぶ食と愛国心 キム・ミンジュ『北朝鮮に出勤します』(新泉者)、キム・ヤンヒ『北朝鮮の食卓』(原書房)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!