しかも日本人である富坂氏が書いているからこそ、「中国が日本に対してどういう点を突いてくるか」がより分かりやすくなってもいる。次の一文などはまさにそうだろう。
ウイグルの問題で日本が中国の内政に口を出せば、中国から何らかの強いリアクトがあることを覚悟しなければならない。(日本にとって最大の貿易相手国である)中国と日本が深刻な対立に陥れば、日本経済へのダメージは計り知れない。
そしてのちに日本国内に失業者があふれ、国民一人ひとりの収入が、いま以上に大きく目減りするという影響が明らかになったとき、「それでもウイグル族のために戦ってよかった」と日本人が本当に思えるのであれば、それでもよいのだが……。
駐日中国大使の弁であるとしても違和感はなさそうだが、間違いなく富坂氏の主張である。
つまり、日本人であり、どちらかと言えば保守なのではと考えられている富坂氏の主張だと思うから「中国の代弁者!」などと違和感や反発を覚えてしまうが、「中国が言いたいのはこういうことなのだ」「日本に対してこういう視線を向けている」と主体を中国に置き換えて読めばストレスはないのである。