法律で「中国人は全員国のためにスパイ活動を行え」
問題は、党規約第一章第六条にある。予備党員(中国共産党への入党を希望するもの)は必ず党旗に向かって入党宣言を行わなければならないとしたうえで、こう誓うことだ。「党員の義務を履行し、党の決定を実行し、党の規律を厳守し、党の機密を守り、党に忠誠をつくし、積極的に活動を進め、共産主義のために終生奮闘し、いつでも党と人民のために全てを犠牲にする用意があり、永遠に党を裏切るようなことをしない」
ここで思い出されるのが、中国国家情報法である。2017年6月に中国で施行された法律で、国民の権利義務として第七条で「国民と組織は、法に基づいて国の情報活動に協力し、国の情報活動の秘密を守らなければならず、国は、そのような国民及び組織を保護する」ことを定めている。
中国人は全員国のためにスパイ活動を行えとするこの法律は、中国の組織および国民に課せられたもので、たとえ経営者が中国共産党の意に背く考えを持っていたとしても、従業員が中国人であれば企業の情報が不正に持ち出されてしまう可能性が大いにある。
中国人従業員に「愛国無罪」の考えが芽生えてしまえば、組織としてのガバナンスも効かないのだ。 とりわけ党旗に忠誠を誓った中国共産党員にしてみれば、中国国家情報法がなくとも、中国共産党の発展のためにスパイ活動を行うなどは朝飯前のことではないだろうか。