米国の環境保護庁(EPA)は、新型コロナウイルス感染症に対する推奨消毒剤(噴霧可を含む)のリストを作成し、疾病予防管理センター(CDC)がこれを基に感染対策を実施している。CDCは対策の一つに「空気の質を向上させること」を挙げ、空間除菌を重視している。しかし、我が国では、厚生労働省が五輪・パラリンピック組織委員会の購入品審査で空間除菌を認めない。
次亜塩素酸水は10年以上使われている日本発の技術で、1社で累計800万本以上も商品として出荷した会社もある。我が国での空間除菌対策を阻害しているのは、薬機法(旧薬事法)に代表される旧来の規制である。次亜塩素酸水については、食品安全や農薬、動物の薬品として膨大な公的安全データが存在する。EPAリストのように一元管理をして、国民の感染症対策、空間除菌を普及させるべきである。(2021.06.07国家基本問題研究所「今週の直言」より)
国基研理事、東京工業大特任教授。1952年、東京都生まれ。東京工業大理工学研究科原子核工学修士課程修了。専門は原子炉工学。東芝に入社し原子力の安全性に関する研究に従事。同社電力・産業システム技術開発センター主幹などを務め、2007年に北海道大大学院教授に就任。同大大学院名誉教授・特任教授を経て現職。