習近平も打たない!中国製ワクチンの闇|福島香織

習近平も打たない!中国製ワクチンの闇|福島香織

生理食塩水をワクチンと偽って販売などは日常茶飯事の相次ぐ悪質な偽ワクチン事件。そして今や第三国の途上国を実験場にするワクチン外交に対しても批判が続出。中国人自身も信用しない中国製ワクチンの深すぎる闇。


米国の疫学専門家のジェニファー・ボウエイはRFAに対し、こうコメントしている。 「WHOの審査要求は合理的であり、正しく、中国にとってもよい。中国のワクチンは、このようにWHOに品質の保証をしてもらえば、安全だと世界にみてもらえるだろう。しかし、中国が個別の国と一対一の契約によって提供しているものは、(ワクチンの品質を保証するうえで)中国にとっても、その国家にとっても一定のリスクがある」  

ボウエイの指摘によれば、2010年から2011年にかけて、中国がアフリカに大量の抗マラリヤ薬の援助を行ったことがあったが、その時も偽薬問題が発生した。中国はSRA(WHOの厳格な監督管理機構、Stringent Regulatory Authority)に加盟しておらず、第三国が品質を保証するシステムがないことが、一つの背景となっている。  

中国のワクチンは第三フェーズ臨床数のデータが正式に公表されておらず、WHOもまだ品質証明を出していない。なのに、すでに50カ国以上にワクチン支援を約束していることは、くしくもカンボジアの首相が批判したように、第三国の途上国を実験場にしていると見られても仕方ないだろう。

実際、シノファームは1月のはじめにワクチンの副作用について73種類をあげ、中国国内の専門家も臨床データが公表されるまでは、18~59歳の原則健康な人が同意をへて受けるべきだ、と接種に慎重な姿勢を見せているのだから。(初出:月刊『Hanada』2021年4月号)

福島香織

https://hanada-plus.jp/articles/197

ジャーナリスト。1991年、産経新聞社に入社。奈良支局、大阪文化部、同社会部を経て、九八年秋から一年間、上海・復旦大学に語学留学。帰国後、外信部を経て、2001年に香港、02~08年に北京に駐在。09年秋に同社を退職。近著に『新型コロナ、香港、台湾、世界は習近平を許さない』(ワニブックス)

関連する投稿


自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

自衛官の処遇改善、先送りにした石破総理の体たらく|小笠原理恵

「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守る必要がない」と日米安保条約に不満を漏らしたトランプ大統領。もし米国が「もう終わりだ」と日本に通告すれば、日米安保条約は通告から1年後に終了する……。日本よ、最悪の事態に備えよ!


日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

日本人宇宙飛行士、月に行く|和田政宗

今年の政治における最大のニュースは、10月の衆院選での与党過半数割れであると思う。自民党にとって厳しい結果であるばかりか、これによる日本の政治の先行きへの不安や、日本の昨年の名目GDPが世界第4位に落ちたことから、経済面においても日本の将来に悲観的な観測をお持ちの方がいらっしゃると思う。「先行きは暗い」とおっしゃる方も多くいる。一方で、今年決定したことの中では、将来の日本にとても希望が持てるものが含まれている――。


トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

トランプの真意とハリスの本性|【ほぼトラ通信4】石井陽子

「交渉のプロ」トランプの政治を“専門家”もメディアも全く理解できていない。トランプの「株価暴落」「カマラ・クラッシュ」予言が的中!狂人を装うトランプの真意とは? そして、カマラ・ハリスの本当の恐ろしさを誰も伝えていない。


習近平「チベット抹殺政策」と失望!岸田総理|石井陽子

習近平「チベット抹殺政策」と失望!岸田総理|石井陽子

すぐ隣の国でこれほどの非道が今もなお行なわれているのに、なぜ日本のメディアは全く報じず、政府・外務省も沈黙を貫くのか。公約を簡単に反故にした岸田総理に問う!


中国、頼清徳新総統に早くも圧力! 中国が描く台湾侵略シナリオ|和田政宗

中国、頼清徳新総統に早くも圧力! 中国が描く台湾侵略シナリオ|和田政宗

頼清徳新総統の演説は極めて温和で理知的な内容であったが、5月23日、中国による台湾周辺海域全域での軍事演習開始により、事態は一気に緊迫し始めた――。


最新の投稿


【我慢の限界!】トラックの荷台で隊員を運ぶ、自衛隊の時代錯誤|小笠原理恵

【我慢の限界!】トラックの荷台で隊員を運ぶ、自衛隊の時代錯誤|小笠原理恵

米軍では最も高価で大切な装備は“軍人そのもの”だ。しかし、日本はどうであろうか。訓練や災害派遣で、自衛隊員たちは未だに荷物と一緒にトラックの荷台に乗せられている――。こんなことを一体、いつまで続けるつもりなのか。


【今週のサンモニ】「過激な平和主義者」の面目躍如、日本学術問題報道|藤原かずえ

【今週のサンモニ】「過激な平和主義者」の面目躍如、日本学術問題報道|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


ヨーロッパ激震!「ロシア滅亡」を呼びかけたハプスブルク家|石井英俊 

ヨーロッパ激震!「ロシア滅亡」を呼びかけたハプスブルク家|石井英俊 

ヨーロッパに君臨した屈指の名門当主が遂に声をあげた!もはや「ロシアの脱植民地化」が止まらない事態になりつつある。日本では報じられない「モスクワ植民地帝国」崩壊のシナリオ。


【今週のサンモニ】新コメンテーターで『サンモニ』も令和路線?|藤原かずえ

【今週のサンモニ】新コメンテーターで『サンモニ』も令和路線?|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


7月5日になにが起こるのか|なべやかん

7月5日になにが起こるのか|なべやかん

大人気連載「なべやかん遺産」がシン・シリーズ突入! 芸能界屈指のコレクターであり、都市伝説、オカルト、スピリチュアルな話題が大好きな芸人・なべやかんが蒐集した選りすぐりの「怪」な話を紹介!