問題となっているスリランカ人女性の死亡についても、事実関係の検証とその上に立つ再発防止策を議論が必要だ。17日付の本欄で私は「留学ビザで入国して学費を滞納し、在留資格を喪失して不法滞在になったケースで、難民申請者ではない」と書いたが、実は留学ビザが切れた直後に難民申請をして却下されていた。却下後に逃亡して不法滞在となり、20カ月後に警察に出頭、帰国を望みコロナ禍のため待機していたが、昨年12月、支援者に会ってから送還忌避者となった。詳しい経緯は以下の通りだ。
平成29年6月日本に留学のため入国。30年9月留学ビザ1年3カ月の期限が切れるタイミングで、帰国したら地下組織に殺されるという理由で難民申請し、31年1月申請が却下され、逃亡して不法滞在となる。令和2年8月19日同居していたスリランカ人男性の暴力から逃げるため警察に出頭し、入管へ移送され、8月20日入管施設に収容されて、帰国の意思を表明。しかし、コロナの影響で送還不可能となり、12月支援者が面会に来るようになり送還忌避者となった。令和3年1月体調不良を訴え、3月6日死亡。(2021.05.19国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)
モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授。1956年、東京生まれ。国際基督教大学卒業。筑波大学大学院地域研究科修了(国際学修士)。韓国・延世大学国際学科留学。82〜84年、外務省専門調査員として在韓日本大使館勤務。90〜02年、月刊『現代コリア』編集長。05年、正論大賞受賞。17年3月末まで、東京基督教大学教授。同4月から、麗澤大学客員教授・モラロジー研究所「歴史研究室」室長。著書に『でっちあげの徴用工問題 』など多数。