1993年8月に発表された「河野談話」は、このように朝日新聞の企画演出で「加害者」と「被害者」、そしてこれを客観的に証明(?)する「文書」まで登場した状況下で強要された、日本政府の「降伏文書」であった。
実際には、権力による組織的な慰安婦強制連行は、当時の日本政府の調査では一切確認されなかった。にもかかわらず、朝日新聞の虚偽の扇動が日韓両国民を欺いた中で河野洋平官房長官(当時)は、あたかも慰安婦募集の「強制性」を認めるような文を出してしまったのだ。
慰安婦問題の虚偽を拡散させたもう一つの決定打は1996年の国連クマラスワミ報告書であった。国連人権委員会特別報告官ラディカ・クマラスワミは、証拠調査も全くせず、朝日新聞の虚偽宣伝と河野談話の詭弁を鵜呑みにした人権報告書を作成、慰安婦問題と関連し強制連行説と性奴隷説を国際的に広めるにあたり、多大なる影響を及ぼした。
その後も慰安婦詐欺劇は、まるでポンジ・スキーム(高配当を謳い文句として金を集める詐欺の手法)の如く続いた。結局、2007年には慰安婦問題で日本の反省を促す米国議会の決議案まで出された。この決議案の根拠は国連クマラスワミ報告書であった。朝日新聞の虚偽扇動が国連を経て、最終的に米国まで席巻したのである。
『韓国政府とマスコミが言わない慰安婦問題の真実』のマーケティング画像。この本が扱っているテーマを画像で紹介。
慰安婦問題の嘘とどのように闘うか
著者である西岡教授は、このように捏造された慰安婦問題がどのように加速し世界に拡散されたのか、その歴史的背景を説明し、国際社会において日本がどのようにこの問題で指弾の対象とされたのかを詳細に説明する。関連する重要な問題ごとに著者本人が孤軍奮闘する様子は韓国の読者にも切々と伝わる。
では日本が罹ってしまった「偽りの歴史の呪い」を一体どのように解けば良いのだろうか。西岡教授はただ真実一つで正面突破する以外いかなる代替もないと語る。虚偽の扇動の源泉であった朝日新聞に確実に責任を問い、そのような真実を韓国と米国、国際社会に説明し、また説明することだけが日本の名誉を回復できる唯一の問題解決手段だと語る。
西岡教授は、特に本の末尾で河野談話以後、慰安婦問題に対する新たな談話が必要だと語り、修正した新たな談話試案も提示した。「権力による組織的な慰安婦強制連行はなかったのであり、河野談話に誤解を招く表現があったのかも知れないが、そのような強制連行は認めていない。また、貧困のくびきにより苦痛を強いられた当時の女性のやりきれない心に対して日本政府は変わりがない」という内容が、その骨子である。
著者は、2019年から日本外務省が公開的に、また公式に慰安婦問題の虚偽(強制連行説、性奴隷説20万人説)に対して、事実に基づき明確に反論していることについても正しい方向だと評価し、その具体的な内容も紹介している。韓国でもたとえ少数ではあるが、こうした日本の動きに対して呼応する動きがあること(この本の韓国語版出版を含む)もまた、「真実の力」というのが西岡教授の見解である。