「会社が口座振替した」はアリバイで、料金納付問題は無事通過
さらに問題は料金納付にある。たとえキム・ハンスが契約した後にイ・チュンサン補佐官に渡したとしても、毎月の使用料金は契約者が納付するか、あるいはイ・チュンサン補佐官が処理すべきだった。ところが、イ・チュンサン補佐官が料金を納付した記録はない。
これに対して検察とキム・ハンスは、「マレイ・カンパニーの法人カードで口座振替をしていたので、契約者キム・ハンスもそれ以降は忘れてしまった」という信じがたいアリバイを打ち出した。そして、実際に検察とキム・ハンスはマレイ・カンパニー法人の口座が記されているタブレット契約を朴槿恵大統領の裁判と私のタブレット裁判*に提出した。迂闊にも朴大統領の弁護団も私もこの事実について何の疑いもなく受け入れてしまったのだ(*タブレットPCの実ユーザーが崔瑞原ではなくキム・ハンスであり、タブレットはJTBCと検察を経て証拠が捏造、操作されたと主張して、JTBCと孫石熙《JTBC社長》等の名誉を毀損したという理由で、ジャーナリストである私は2018年5月に検察によって拘束起訴され、現在控訴審裁判中である。この裁判がまさに『タブレット裁判』である)。
しかし、私が1年余りソウル拘置所で事前拘束され、釈放された後、控訴審で再び精密に資料を検討した結果、異常な点を発見した。
利用停止記録発見、年間売上高は20億ウォンの会社が料金を滞納?
タブレットPCは料金が未納状態で、2012年9月10日から11月27日までの3か月間「利用停止」だったが、何者かが2012年11月27日午後1時頃に料金を納付し、利用停止を解除したのだ。そしてその後、直ちに使用した記録が、検察と国立科学捜査院のフォレンジック資料(※6)で発見された。
当時、キム・ハンスの会社(株)マレイ・カンパニーは、年間売上高20億ウォン台にも上っていた。一方、6か月(※7)もの間未納のタブレット通信料金は、せいぜい40万ウォンにも及ばなかった。月平均料金は、機器の割賦元金を含め約6万ウォン程度。会社法人カードで口座振替設定されたこの程度の金額が払えず、延滞されて利用停止となったとは信じ難い。
したがって私は、私のタブレット裁判控訴審法院に、一体誰が未納料金を一度に精算したのか事実照会した。前述したように、記録上、未納料金を納付し利用停止を解除した後、直ちにタブレットPCを使用していることが分かる。その利用者は、朴大統領の遊説資料をダウンロードするなどで使用しており、料金を納付した者がタブレットの実ユーザーであることが分っている。ちなみに、2012年11月27日、大統領選挙の運動初日で、朴大統領はこの日遊説を開始している。