北朝鮮問題に関する懸念材料
この点は、北朝鮮問題に関しても懸念材料である。トランプは金正恩と、一見、無理念な「仲良しパフォーマンス」を繰り広げたが、その間、制裁は一切緩和しなかった。
第1回首脳会談の直前に、北が揺さぶりのためペンス副大統領への暴言を吐くと、トランプは即座に会談キャンセルを発表した。慌てた北が態度を軟化させ、結局会談は開かれたが、ペースは終始米側が握って離さなかったと言える。
協議継続に執着せず、相手の態度次第でいつでも打ち切り、圧力強化に転換するとの姿勢をトランプが示したためである。
北にとって議題にしたくない日本人拉致問題も、トランプが三度にわたって取り上げたため、当初は話をそらそうと努めた金正恩も、最終的に応答せざるを得なくなった。
憤然と席を立つパフォーマンスに出れば、トランプに「どうぞ出て行け。われわれも帰る」と応じられ、自らを苦しい立場に追い込むと金正恩が危惧したためだろう。
「カメレオン左翼」カマラ・ハリス
もう一つ重要なのは、トランプ政権とバイデン政権における副大統領の能力差である。
ペンスは理念が明確で、政治経験も豊かな安定した保守派である。米朝首脳会談に至る道程でも、無視できない露払い的役割を果たした。2018年2月に開かれた韓国・平昌オリンピックに米政府を代表して参列し、金正恩が派遣した妹の金与正と裏面で外交戦を繰り広げたが、米側から手を差し伸ばすような動きは一切見せず、五輪会場でも、近くにいる与正を終始無視した。無言のうちに、米側の強い意志を伝えたわけである。
カマラ・ハリスに同様の芸当ができるだろうか。むしろ満面の笑みで抱きつきに行くなど、相手のペースにはまりかねない。 「バイデンは生きていても死んでも問題」という言葉がある。もともと理念や決断力、集中力を欠き(だから失言が多い)、高齢で認知症も懸念されるバイデンが大統領の座に留まっても不安だし、死亡ないし職務遂行不能に陥って、「カメレオン左翼」(極左とリベラル派の間を揺れ動くためこう呼ばれる)ハリスがあとを継いでも、同等以上に不安という意味である。