バイデン一族の異常な「習近平愛」|石平

バイデン一族の異常な「習近平愛」|石平

バイデン大統領の習近平に対する「偏愛ぶり」は異常だ!オバマ政権時代、副大統領としての8年間に中国とどう付き合ってきたのか――事あるごとに習近平との蜜月ぶりをアピールするばかりか、遂には習近平の暴挙を容認し同盟国日本と国際社会を裏切ってきた。断言する、バイデンは「罪人」である!


Getty logo

バイデン氏と習氏との親交は、これ以降も継続されている。  2012年2月13日から17日にかけて、今度は習氏が夫人とともに中国国家副主席として訪米した。それもバイデン初訪中と同様、5日間という異例の長さの訪問であった。  

もちろんその時、米国副大統領のバイデン氏は最大の厚遇ぶりで、自分の老朋友(旧友)である習氏の接待に当たっている。習近平夫婦がアメリカに到着した時、バイデン副大統領夫婦はわざわざ空港まで彼らを出迎えた。相手は中国の国家副主席であるとはいえ、米国の副大統領が外国からの訪問客を空港で出迎えるのは異例のことで、バイデン氏は習氏に対する最大限の厚意を示した形だ。  

その後、バイデン夫婦は習近平夫婦を晩餐会に招くなど、家族ぐるみの親交を深め、習氏がワシントンでの訪問日程を終えてアメリカの西海岸を訪問したときも、バイデン氏は当然のように同伴、習氏と終始行動をともにした。2人は再び濃密な時間を共有したわけである。  

2013年12月、バイデン氏が副大統領として2回目の中国訪問を行った時、習氏はすでに中国の国家主席の椅子に座り、最高権力者となっていた。

実は、このバイデン訪中の1カ月前、ある重大な出来事が起っていた。習主席がアジアの安全保障に重大な脅威を与える冒険的行動に打って出たのだ。

習近平の暴挙を容認、同盟国日本と国際社会を裏切る

Getty logo

2013年11月23日、習近平政権の中国は東シナ海の上空で中国の防空識別圏を設定、政権成立後の軍事的冒険の第一歩を踏み出したのである。  

簡単に説明すると、本来どの国の航空機でも自由に飛べる東シナ海上空の空域を、中国は勝手に自分たちの「防空圏だ」と設定し、それを中国軍の監視下に置いたのである。そんな暴挙は当然のことながら、民間機を含めた各国航空機が自由に飛行する権利の侵害であり、脅威であり、許されることではない。   

本にとってこの問題は特に深刻だった。中国の防空識別圏が設定されている空域は、まさに日本の領空とは隣り合わせで、日本の航空機が頻繁かつ大量に飛ぶ空域でもある。日本と国際社会にとって、習近平政権の暴挙への対策は喫緊の課題となった。  

この中国の防空識別圏設定の10日後、12月3日にバイデン副大統領はアジア歴訪の最初の訪問地として日本の東京を訪れている。  

当時、日本の首相は安倍晋三氏。同盟国である米国の副大統領の来訪は、日本にとってはまさに日米が連携して中国の暴挙を食い止める好機のはずだった。  

そのため、バイデン副大統領との会談で、安倍首相はまず日米が共同して防空識別圏設定の撤回を中国に強く求めようと米国側に働きかけた。しかし案の定というか、意外というのか、バイデン副大統領は安倍首相の提案をきっぱりと拒否して、中国に対して「撤回」を求めない考えを貫いたのだ。  

そこで安倍首相は次善の策として、日米で「防空識別圏設定反対」の共同声明を出して中国を牽制しようとも提案したが、これもバイデン氏によって拒否された。バイデン氏は、中国の防空識別圏設定の危険性を顧みずに、同盟国首相からの懇願も同盟国日本の安全保障を無視する形で、中国を庇うことに徹したのである。  

バイデン氏は一応、米国副大統領として中国の防空識別圏設定に反対の意思を表明したが、中国に対して「撤回」を求めず、事実上、習近平氏の軍事的冒険を容認した。  

同盟国日本の安全が脅かされているこの肝心な時に、そして国際社会が習近平政権の暴走を封じ込めることができるかどうかという重大な時に、バイデン氏はあくまでも中国寄り、習近平寄りの姿勢を取り続け、同盟国日本と国際社会を裏切ったのである。

関連する投稿


「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

トランプ前大統領の〝盟友〟、安倍晋三元総理大臣はもういない。「トランプ大統領復帰」で日本は、東アジアは、ウクライナは、中東は、どうなるのか?


【スクープ!】自衛隊と神戸市が交わした驚きの文書を発見! 自衛隊を縛る「昭和の亡霊」とは……|小笠原理恵

【スクープ!】自衛隊と神戸市が交わした驚きの文書を発見! 自衛隊を縛る「昭和の亡霊」とは……|小笠原理恵

阪神地区で唯一の海上自衛隊の拠点、阪神基地隊。神戸市や阪神沿岸部を守る拠点であり、ミサイル防衛の観点からもなくてはならない基地である。しかし、この阪神基地隊の存在意義を覆すような驚くべき文書が神戸市で見つかった――。


速やかなる憲法改正が必要だ!|和田政宗

速やかなる憲法改正が必要だ!|和田政宗

戦後の日本は現行憲法のおかしな部分を修正せず、憲法解釈を積み重ねて合憲化していくという手法を使ってきた。しかし、これも限界に来ている――。憲法の不備を整え、わが国と国民を憲法によって守らなくてはならない。(サムネイルは首相官邸HPより)


トランスジェンダー予備自衛官の本音|小笠原理恵

トランスジェンダー予備自衛官の本音|小笠原理恵

バイデン大統領は2021年1月25日、トランスジェンダーの米軍入隊を原則禁止したトランプ前大統領の方針を撤廃する大統領令に署名した。米軍では大統領が変わるごとにLGBTの扱いが激変――。だが、自衛隊ではお互いに理解を深めつつ共存している。その一例をご紹介しよう。


台湾総統選 頼清徳氏の勝利と序章でしかない中国の世論工作|和田政宗

台湾総統選 頼清徳氏の勝利と序章でしかない中国の世論工作|和田政宗

中国は民進党政権を継続させないよう様々な世論工作活動を行った。結果は頼清徳氏の勝利、中国の世論工作は逆効果であったと言える。しかし、中国は今回の工作結果を分析し、必ず次に繋げてくる――。


最新の投稿


マスコミが報じない川勝知事が暴言失言を恐れない理由|小林一哉

マスコミが報じない川勝知事が暴言失言を恐れない理由|小林一哉

「磐田は浜松より文化が高かった」 また暴言をした川勝知事。しかし、撤回もせず、悪びれる様子もない。なぜ、川勝知事は強気でいられるのか――。


【今週のサンモニ】怒りを煽りながら禅問答を繰り返す|藤原かずえ

【今週のサンモニ】怒りを煽りながら禅問答を繰り返す|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。


「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

「もしトラ」ではなく「トランプ大統領復帰」に備えよ!|和田政宗

トランプ前大統領の〝盟友〟、安倍晋三元総理大臣はもういない。「トランプ大統領復帰」で日本は、東アジアは、ウクライナは、中東は、どうなるのか?


【読書亡羊】原爆スパイの評伝を今読むべき3つの理由  アン・ハーゲドン『スリーパー・エージェント――潜伏工作員』(作品社)

【読書亡羊】原爆スパイの評伝を今読むべき3つの理由  アン・ハーゲドン『スリーパー・エージェント――潜伏工作員』(作品社)

その昔、読書にかまけて羊を逃がしたものがいるという。転じて「読書亡羊」は「重要なことを忘れて、他のことに夢中になること」を指す四字熟語になった。だが時に仕事を放り出してでも、読むべき本がある。元月刊『Hanada』編集部員のライター・梶原がお送りする時事書評!


【今週のサンモニ】思考停止に繰り返される「多様性・反戦アピール」|藤原かずえ

【今週のサンモニ】思考停止に繰り返される「多様性・反戦アピール」|藤原かずえ

『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。