政界を引退したつもりだったが、米のゴールデングローブ賞を受賞し、アカデミー賞候補にもなったハリウッド映画「ウルフ・オブ・ウオールストリート」や、ハリウッドスターのレオナルド・ディカプリオ、スーパーモデルのミランダ・カーらも巻き込み、米国、スイス、アブダビ、シンガポールなどを舞台に、米司法省が起訴した国際的マネーロンダリング事件に発展したマレーシアの政府系投資会社「1MDB」((One Malaysia Development Berhad)の汚職問題が発生。これにより批判された親中派のナジブ元首相率いる古巣与党「統一マレー国民組織」(UMNO)を相手に、2018年5月、野党を率い総選挙にうって出た。
そして1957年の独立以来、61年ぶりに政権交代を果たし、92歳で15年ぶりに首相に復帰したのだ。
この時、マハティールと共闘したのが、長年の政敵であったアンワル・イブラヒム元副首相(73)(以下、アンワル)である。このマレーシアのカリスマ的指導者の両雄がタッグを組んだからこそ、初の政権交代という歴史的勝利を勝ち得たといえる。
政敵を迎え入れた背景、果たされなかった和解条件
アンワル氏(左)を単独インタビューする筆者(スランゴール州のPKR本部ビルにある同氏事務所。PKR首席報道官のファミ国会議員撮影)