米新国防長官は同盟強化に繋がるか?|太田文雄

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バイデン次期政権の一連の閣僚人事を見ると、職務に適任であるか否かよりも性別や人種のバランスが考慮されているのではないかと感じざるを得ない。


予算削減で日米協力に影響も

一方、民主党政権では伝統的に、医療保険等の国内問題を優先するために国防予算が削減されてきた。トランプ政権で宇宙軍の創設など宇宙関連予算が増加したが、バイデン政権では削減される可能性が高い。日米間では、多数の衛星を打ち上げることによってミサイル防衛を行う「衛星コンステレーション計画」で協力する構想があり、日本でも約2億円の概念研究費が計上されているが、仮に米側予算が削減されれば日米協力のメニューが消える可能性がある。

また、トランプ政権で推進されてきた米海軍の355隻構想も縮小される可能性が高い。米海軍は既に隻数で中国海軍に遅れをとっているが、予算削減は海上自衛隊が共に行動してインド太平洋構想を具現化していく米軍の艦艇数にも悪影響を及ぼすことに繋がる。

バイデン氏の「同盟強化」発言に安心することなく、人事や予算、政策に注目していくべきである。(2020.12.14 国家基本問題研究所「今週の直言」より転載)

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